2023年8月、埼玉県の動物愛護センターにコロコロしたミックス犬の子犬が収容されていました。まだ生まれて約2週間ほど。お母さんワンコはどうしたのか、なぜ生後間もなく収容されたのかは明らかにされていませんでしたが、ともかく徹底した健康管理が必要です。

動物愛護センターの職員は、懇意の犬保護団体restartdog LIEN(以下、リアン)に連絡し、レスキュー依頼をしました。

きょうだい犬の中で一番体の小さいワンコだった

リアンのスタッフは迷うことなく引き出しに向かいました。対面した子犬は、栗色の毛とまん丸の黒目が印象的なワンコ。他のきょうだい犬とも一緒に引き出すことにし、スタッフはこのワンコに「ほたて」という名前をつけました。一緒に引き出したきょうだい犬と比べると、ほたては体が小さいため、スタッフはたくさんのミルクを与えるようにしました。

たっぷりの愛情の中で、ほたては保護当初から元気いっぱい。ミルクをごくごく飲み、ぐんぐん成長していきました。

ほたてのヤンチャ過ぎ問題

すくすく育ってくれることを喜ぶスタッフでしたが、少々厄介な問題も起こるようになりました。それはヤンチャ過ぎることです。

起きている間はとにかく活発に動き回り、きょうだい犬とじゃれ合ったり、ソファーの上によじ登ろうとしたり、椅子をガリガリかじってみたり。スタッフが「ダメでしょ!」と優しく叱っても、キョトンとした表情を浮かべ、「え? 何がダメなの? 椅子ガリガリさせてよ」と罪悪感ゼロ状態です。

スタッフは「あの目で見られると、つい許してあげたくなります(笑)。でも、いつか里親さんに譲渡するわけですから、ここできちんとトレーニングしておかないとダメですね。ともあれ、ヤンチャ過ぎるほたてですが、病気にならずここまで元気に育ってくれたことは本当に良かったです」と笑顔で語ってくれました。

「ほたての前では椅子やソファは『消耗品』です」 

引き出しから約1カ月後、里親募集をかけることにしました。ほたての元気いっぱいでかわいらしい様子を見た里親希望者さんが現れました。この里親希望者さんの自宅はリアンの保護先まで、車で片道2時間。遠い場所から会いに来てくれました。

里親希望者さんにスタッフは「ほたての前では、椅子やソファは『消耗品』になりますよ」と伝えましたが、「大丈夫です」という返答。信頼できる方でもあったため「この方ならば」と、トライアルに出すことにしました。

同時にほたては車に乗ったことがないため、2時間もの移動で車酔いで吐いてしまうのではないかと心配なこともありました。しかし、結果は問題なし。なんと、ほたては車の中でへそ天でぐっすり寝てしまい、また里親希望者さんの家に着いてからも物怖じするようなことはなく、すぐに家の中を楽しそうに探検していたと言います。

もしかしたらほたて自身が、里親希望者さんの優しさを感じ取り「安心できる人だから大丈夫」と、当初から自由に過ごすことができたのかもしれません。もちろんトライアルもクリア。果たしてほたては、その名前のまま、この里親さんの家で幸せな犬生をおくることになりました。

スタッフは巣立っていくほたてに声をかけました。「優しいお家に迎え入れてもらえて本当に良かったね。いつまでも元気で過ごしてね。でも、椅子のガリガリだけはいつかしなくなってくれるといいなぁ(笑)」と。

犬保護団体restartdog LIEN
https://ameblo.jp/liendog

LIENインスタグラム
https://www.instagram.com/restartdoglien/

(まいどなニュース特約・松田 義人)