iPhoneとメガネを使い、視力が低い人の見え方を体感する方法が話題になっています。X(旧ツイッター)に動画を投稿したのは、102年続くメガネ屋の店主。弱視の子供用メガネを作る時、彼らがどのように見えているかを保護者に説明する方法として思いついたそうです。店主の男性に話を聞きました。

埼玉県行田市のサカタメガネ店主の坂田頼彦さんが投稿した動画は、【メガネを外した時の見え方】というもの。

まず、iPhoneのカメラの前にメガネのレンズをかざします。画角のどこかをタップして1秒ほど長押しすると、「AE/AFロック」の表示が出てきます。これで焦点が固定された状態になりました。その後、メガネを外すと画面がぼやけ、視力が低い人の視界のようになるというわけです。

投稿には「目が良い人は悪い人の見え方は理解できないので、これを利用して店舗や街づくりなどに役立てられるかもしれない」という坂田さんの言葉も添えられています。Xでは「すごい、本当のメガネ外した時の景色と同じ」「奥さんに視界の悪さを理解してもらえた」「こうして色んな分かり合えなさを共有していけたら良いですね」など国内外から反響があり、5.5万件以上のいいねを集めています。

坂田さんに詳しいお話を聞きました。

ーーメガネを外した時の見え方について投稿しようと思ったきっかけを教えてください。

坂田さん:弱視の子供用メガネを作っている時に思いつきました。弱視のお子さんは弱視用メガネを朝から晩までかけていないと治療に繋がらないのですが、親御さんは普通の近視用メガネのことしか知らない場合が多く、「必要な時だけかけさせればいいか」なんて考えてしまいます。

普段の接客から「お子さんが今見えている世界」を知ってもらうために専用のレンズで見せたりしているのですが、それをより分かりやすくするためにどうすればいいかなと考えて思いつきました。

ーー動画で紹介された方法はどのようにして思いつかれたのでしょうか?

坂田さん:AFロックで焦点を固定させるというやり方自体は、メガネとカメラの仕組みですので、メガネ業界の方であれば割とすぐに思いつく方法かなと思います。オートフォーカスのついたカメラにメガネレンズを当てると、そのメガネの度数を通した上でピントが合いますので、まさに人がメガネをかけた状態に近くなります。そこで焦点を固定させてしまえばレンズを外すと裸眼の状態に近くなるというわけです。

ただし正確に言うと乱視は反映されておらず、実際の眼には「高次収差」「グレア」「ハロー」「スターバースト」といった、光が広がったり伸びて見える現象があるので、本当の裸眼よりは良く見えて撮影されるはずです。

ーー投稿には大きな反響がありましたが、受け止めを教えてください。

坂田さん:「見えにくい」ということは人に伝えることが困難で理解されにくいですが、世の中には”メガネをかけても”視力が出ない方が沢山いらっしゃいます。投稿をきっかけに、そんな方々でも障壁を感じずに生活できるまちづくりにつながっていけばと思います。

(まいどなニュース・小森 有喜)