お伊勢参りで出会った1匹の子猫。その子猫がもたらしたご縁がインスタグラムで話題になっています。

関東で暮らす投稿主のかおりさんは、高校生の娘さんと暮らすシングルマザー。最近になって、三毛猫の「たびちゃん」が新たに家族に加わりました。

たびちゃんとの出会いの「きっかけ」は、2023年12月にさかのぼります。出張で三重県を訪れたかおりさんは、仕事帰りに会社の仲間たちと伊勢神宮内宮前のおかげ横丁に立ち寄りました。

そこで出会ったのが、ガリガリにやせ細った1匹の子猫。かおりさんがしゃがんで近づくと、子猫はぴょんと膝に乗り、ゴロゴロと喉を鳴らします。

実はかおりさん、以前は動物の看護師として働いていました。プライベートでも離乳前の保護猫たちを預かり、離乳が終わるまで育てていたそうです。しかし、離婚をきっかけに転職し、ペット不可のマンションに引っ越し。女手一つで子どもを育てていくための苦渋の決断でした。

それから約10年。ようやく暮らしが安定し、かおりさんはペット可のマンションに移り住みます。おかげ横丁で子猫と出会ったときは、まさに猫と暮らす環境が整ったタイミング。やせ細った体で喉を鳴らし続ける子猫を見て、「この子を連れて帰りたい」と心が大きく揺れました。

しかし、かおりさんはその日、子猫を連れて帰ることができませんでした。

「会社の人の車に乗せてきてもらっていたし、車の持ち主のお子さんには猫アレルギーがありました。人の車で、かつアレルギーのことも考えると、『猫を連れて帰りたい』とは言い出せませんでした」

その日の深夜に関東の自宅に戻ったかおりさん。でも、おかげ横丁で出会った猫のことが頭から離れません。そこで翌日、娘さんに一部始終を話し、「明日探しに行ってみようと思う」と伝えたところ、「じゃあ私が一緒に行く!自分の交通費は後で返すから。行こう!」と強く背中を押されます。子どものころ、猫の預かりボランティアを手伝っていた娘さんもまた、その子猫を放っておけないと思ったのです。

そして翌日の土曜日、かおりさんと娘さんは猫を保護するために必要なモノを両手に抱え、早朝の新幹線に飛び乗ります。おかげ横丁に到着したのはお昼前。そこから夕方まで、子猫の動画を街の人たちに見せながら、おかげ横丁を何度も往復して猫を探し続けました。

でも、あの子猫は見つかりませんでした。

「大寒波が訪れた日で、その日は地域猫の姿さえほとんど見られませんでした。救いを求めている猫は、出会えたときに救うべきだった。子猫を連れて帰れない喪失感で娘も落ち込んでしまって、帰りの新幹線では一言も喋れませんでした」

苦しんでいる猫を助けてあげられなかった…。やり切れない思いの中、かおりさんは「だったらせめて、今救える命を救おう」と気持ちを切り替えます。そして後日、地元の動物愛護センターを訪問。そこで出会ったのが、怖がりの三毛猫「たびちゃん」です。

あまりにも人を怖がるため、センターの職員さんにも「この子は新しい家族が見つからないかもしれない」と心配されていたたびちゃん。でも、かおりさんの家族になってからは、ゴロゴロとよく甘える猫になりました。

「10年ぶりの猫との暮らしは、家族の笑顔を増やしてくれました。お伊勢さんにいた子猫を救えなかったことは悔やんでも悔やみきれないけれど、あの子のおかげでたびちゃんに出会うことができました」

かおりさんの投稿には、「神宮の猫は神の使いだったのかも」「人懐っこい猫だから、やさしい誰かに連れて帰ってもらったのでは?」といったコメントの他、「おかげ横丁の近くに住んでいるので探してみます!」という声も。

たびちゃんという猫の幸せを運んでくれた神宮の子猫。ご縁をつないでくれたこの子にも、温かいご縁がつながることを祈りたいですね。

(まいどなニュース特約・鶴野 浩己)