大きめの垂れ耳と顔立ちが愛らしいワンコ・ごま。2019年4月、ピースワンコ・ジャパン(以下、ピースワンコ)に生後3週間ほどで保護されました。ほどなくして「迎え入れたい」という優しい里親さんとの出会い、保護から約5カ月後に「ずっとのお家」をつかんだ幸せワンコです。

ただ、この家に来た当初は、「僕ならいませんよ」とばかり、気配を消して過ごし心を開こうとはしませんでした。また、若い間に迎え入れられたこともあり、ごまにとっては「初めて見るもの」がいっぱい。苦手なものを前にすれば、その都度パニック。

里親さんはそのたびにごまが緊張したり怖がるものを遠ざけ、「大丈夫だよ、怖くないからね」と優しく声をかけ続けました。

成長を遂げ、後住の猫やトイプーとも仲良しに

少しずつでしたが、ごまはやがて怖がらなくなり、「お兄ちゃん」としての心の広さまで出してくれるようになりました。

ごまがこの家に来てから1年8カ月ほどが経過した頃、近所にいた迷い猫・メイちゃんを引き取り同居させることにしました。里親さんはごまが嫌がらないかどうか心配でしたが、2匹はすぐに仲良しになり、出会った翌日から遊ぶようになりました。

その1年後には、トイプードルのモコちゃんも加わりました。同じワンコでも体格が異なるごまとモコちゃんですが、こちらもすぐに仲良しに。まだ若いモコちゃんからのイタズラも、大人のごまが優しく対応する場面まで見せてくれるようになりました。

「ワンコと人間が一緒に乗り越え、お互いに成長」

最初はかなりのビビリだったごまが、心を開きここまで成長したのはやはり里親さんのたっぷりの愛情と根気強い世話のおかげです。当の里親さんはこんなふうに話をしてくれました。

「元野犬の保護犬を家族に迎えて一緒に暮らしてみると、『ワンコと人間が一緒に乗り越える』場面が多く、『お互いに成長している』と感じることがあります。保護犬に少しでも興味が湧いたら、まずはワンコに会いに行って欲しいと思います」

一般に元野犬は他のワンコとの協調性に長ける一方、人間にはなかなか懐かないとも言われます。しかし、控えめで優しい性格のワンコが多いのも事実です。心を開いてくれれば、良いところをいっぱい出してくれ、ともに生きる喜びを感じさせてくれます。ごまと里親さん、そしてメイちゃん、モコちゃんとの穏やかで幸せな生活は、それを体現しています。

(まいどなニュース特約・松田 義人)