「視覚障害者が嬉しいと感じた配慮」と、元々先天性弱視で、そこから徐々に緑内障が進み、約10年前に全盲になったさくらsan(@sakura0221tea、以下さくらsan)さんが、X(旧Twitter)に投稿したユニクロでの買い物エピソードが話題に。

「ユニクロでパンツを買って裾上げをお願いしたら、レジで引き渡し券を渡してくれた店員さんが『これが他の紙と混ざってわからなくならないように、何か触ってわかる目印つけておきましょうか?』と、端にセロテープを貼ってくれた。気付いてくれた心遣いにとても感謝」。 

この心温まるエピソードに「その店員さん、すごく素敵だね」「真の多様性を感じる」「みんながこうなれると、もっと生きやすい世の中になるんでしょうね」「気付いて、その場で出来る限りの対応をして貰えるのは有難い」と、感動と共感の声が相次ぎました。 

さくらsanさんにこの時のエピソードや、買い物での対応について詳しく話を聞きました。

「身構えずに自然に接してもらったことが…」

――このユニクロの店員さんに目のことを何か伝えましたか?

「いいえ、言葉では伝えていません。白杖をついて歩いていたので、おそらくそれに気付いてくださったのだと思います」 

――店員さんはどのような方でしたか?

「声やしゃべり方からだけの推測になってしまいますが、恐らく20代半ばくらいの男性かなぁと感じました」 

――この対応を受けて、どのように感じましたか?

「相手の立場に立って困りごとに気付くのって簡単なことじゃないと思うんですけど、向こうから気付いて対応してくださったことが本当に嬉しくて、あたたかい気持ちになりました。実は、Xでは字数の関係もあって省略しているのですが、実際この店員さんは 『このままじゃわかりづらいですよね・・・? お引き渡し券が区別できるように、何か目印をつけたりしましょうか?』と私に聞いてくださったんです」 

――なるほど。さくらsanさんとの対話から生まれたサポートだったんですね

「そうなんです。店員さんからのことばを受けて、私が『ありがとうございます!そうしていただけるととても嬉しいです』と返したところ、『セロハンテープを貼ればわかりますか?』と提案してくださったんです。そんな風に、決して押し付けや決め付けでもなく、会話を通じて寄り添った対応をしていただけたことがとても嬉しかったです。同じ障害者でも、その方の状況によって望むサポートもさまざまだと思いますので」 

――確かに障害の程度やサポートの度合いなど、見た目だけではわからないことも多いですね

「はい。『障害者が来たからこうしなきゃ!』とあまり身構えずに、自然に接して聞いてもらえることが、私にとっては一番嬉しいです。そして、『目が見えなかったらこんなことが困るんじゃないか?』と想像して、どうしてほしいかを相手に聞いて対応してもらえるのは、人として対等に接してもらえてるというか、思いやりを感じてとても嬉しくなります」 

――このような時、普段はご自身でどのような工夫をしてらっしゃいますか?

「レジの方に余裕がありそうなときは、自分からどれが何の紙かを聞いて、大事なものは分けてしまいます。ただ、他のお店でも同じような買い物をしたり、引き渡しが何日か後だったりすると、結局、財布の中で他の紙と混ざってどれだかわからなくなってしまうことがあります。ですので、今回、セロハンテープを付けてくださったことは、触ってすぐにわかる目印になって、とてもありがたかったです」 

――このような対応はほかにも?

「はい、コンビニで味違いの焼き鳥を買った時に、『たれの袋にだけ、テープ2枚貼っておきますね』と、わかるように区別してくださったことがあります。その時もとても嬉しかったです。あと、紙類を受け取るときに、全部一緒にではなく、『これが引き換え券です』などと、1枚ずつ別々に渡してくれた時も助かりましたね」 

――ショッピングや買い物の場面で、どのような支援があったら助かりますか?

「最近では、セルフレジやタッチパネル注文など、非接触型サービスが増え、視覚に障害のある私たちには、1人で買い物をすることのハードルが以前より高くなりました。店員さんに声をかけたくても、どこにいるかが探せなかったり、忙しそうで声をかけていいタイミングが見つけられなかったり…。ですので、今回のように、あちらから気付いてくれて、サポートをしていただけることが、とてもありがたいです」 

さくらsanさんは、買い物をする際、店があまり混んでいない時間帯を狙ったり、サポートをしてくれる誰かと一緒に行ったりと、可能な限り店側の負担にならないよう気を付けているそうです。ただ常に条件がそろうとは限りません。今回のエピソードも「相手の立場に立って、何が困るか、どうしたらわかりやすいか、考えてくれた心遣いがとても嬉しかった」とさくらsanさん。

相手のことを自分事として考えて、気負いなくサポートできる人が増えれば、障害の有無にかかわらず、さまざまな人が生きやすい世の中になっていきますよね。 

さくらsanさん曰く「以前よりこのような対応をしてくださる方が本当に増えて、とてもありがたく感じています」とのこと。思いやりの輪がこれからもどんどん広がっていくことを願います。 

(まいどなニュース/Lmaga.jpニュース特約・福尾 こずえ)