来る日も来る日も、陽の当たらない繁殖場の檻の中で毎日同じ景色を見ていた6歳ほどのメスのチャウチャウ犬。

後に子宮蓄膿を患い、皮膚もボロボロ。「子宮がダメになったら価値はない」とばかりに治療を受けられず、死を待つだけの日々でした。

静岡県の保護団体・スリール〜犬達の幸せ探し〜(以下、スリール)は、このチャウチャウ犬を保護。そのまん丸の顔から「団子」という名前をつけ、世話をすることにしました。

あちこちのものをくわえて自慢

スリールのスタッフは団子を動物病院へと連れて行き、適切な治療をしてもらうことにしました。治療には一定期間がかかりますが、幸い命に関わる重篤な病気はなく、投薬と通院を行うことになりました。

繁殖場にいた頃の団子は、どこか諦めたような表情でしたが、スリールに来てからは毎日日当たりのよい場所で過ごしていることから笑っているような表情の時間が増えましたた。

かつての檻の中とは違い、ここでは自由。遊ばせてもらえなかった分を取り戻すかのように、団子は施設内のあちこちのものを咥えて持ってきます。

そして、ゆっくりスタッフに歩みより「これいいでしょ? 私持ってきたのよ!」とカミカミしながら自慢げに見せてくれます。

「団子、そんなもの持ってきちゃダメだよ!」「カミカミもダメよ!」と取り上げると、その度に「え、ダメなの?」とニッコリ。

その笑顔にほっこりさせられますが、ワンコにとってこんなに当たり前の日常を奪われていたことを思うと、スタッフは胸が締め付けられました。

「ピチピチの6歳ですよ」

団子は散歩も大好き。外の世界にはまだビクビクする場面もありますが、少しずつ馴れ始めています。

ゆっくり歩くことから通りすがりの人に「かわいいですね。老犬ですか」と声をかけられたスタッフは「いえ、ピチピチの6歳ですよ」と返答します。

確かに団子はゆっくりとした足取りです。ハイシニアのワンコでも、もっと早く歩けでしょう。

それでも6年間も檻の中で過ごした団子にとっては十分にすごいことです。ゆっくりでも自分の足で地面を踏み締め、お日様の下で一歩一歩。歩く喜びをゆっくりかみしめているのかもしれません。

人間の言葉も覚えてくれた

後に団子はドッグランにもデビューしました。

他のワンコと積極的に遊ぶ…までとはいきませんが、協調性はあるようでお尻の匂いをかいであいさつする場面もあります。

古くは「番犬」として活躍していたチャウチャウ犬らしく、少々頑固な一面があり、初対面の人が自分が遊ぶ庭に来ると吠えてしまうことがあります。しかし、最近は「ダメ」という言葉を覚えてくれました。注意されると、ピタッとやめ、また満面の最高の笑顔を見せてくれます。

そして、ついに「団子を迎え入れたい」という里親希望者さんが現れました。現在は、正式譲渡前のトライアル中です。団子が幸せな第二の犬生を掴む日はそう遠くない時期に訪れるかもしれません。

(まいどなニュース特約・松田 義人)