「これは保護して数日後にあまりにも運動ができないから
『どこか悪いのでは』と思い病院に連れて行ったら、診断名『運動音痴』だったかわいい猫。」

過去にも運動音痴の猫ちゃんとしてSNSで話題になった元保護猫の「ニューネコチャン」(4歳)。飼い主は2匹の元保護猫と暮らす漫画家、うさぎのみみちゃんさん(@usagitoseino)です。先日もX(旧Twitter)で2年ほど前にニューネコチャンを保護して数日後、病院で「運動音痴」と診断されたことを投稿、注目を集めました。

運動音痴の元保護猫「走るのが遅く、ジャンプができなかった」

うさぎのみみちゃんさんによると、おうちにお迎えした時のニューネコチャンは走るのが遅く、ジャンプができなかったとのこと。「もしや心臓、足、関節が悪いとか?」と心配して病院で診てもらったところ、「運動音痴」だと判明。野良猫時代は「コミュ力」で生き抜いてきたようだといいます。

猫というと、高い所に登ったりと俊敏で運動神経の良い動物というイメージが強いですが…ニューネコチャンのように「運動音痴」な猫ちゃんってどんな猫? 猫に詳しい夜型動物病院「まねき猫ホスピタル」(大阪・守口市)院長で獣医師の石井万寿美(いしい・ますみ)先生にお話を聞きました。

どうして「運動音痴」なの?

――実際にニューネコチャンのように「運動音痴」な猫ちゃんというのは結構いるのでしょうか。

「数はそう多くはありませんが、猫にも運動音痴と呼ばれる状態は存在します。猫は一般的に非常に敏しょうでバランス感覚が優れている動物ですが、個体差があり、中には運動能力が低い猫もいます」

――ニューネコチャンは、推定2歳の頃に保護された猫ちゃんです。小さい頃から駆け回ったり、高いところにのぼったり、飛んだりして遊ぶ機会が少ないと、おのずと運動神経は育たなくなると聞いたことがあるのですが、「運動音痴」な理由についてどんなことが考えられますか?

「運動音痴の理由は5点ほど考えられます。まず1点目は、発達の問題。子猫の時期に十分な運動経験や遊びをしていない場合、成猫になってからの運動能力が低くなることがあります。次に2点目、健康上の問題。内部寄生虫、栄養不足、筋力の低下、関節炎や神経障害などの健康問題が運動能力に影響を与えることがあります。3点目は遺伝的要因。一部の猫は遺伝的に運動能力が低い場合があります。スコティッシュフォールドなどは、骨に問題があり、運動能力が低い子もいます。

続いて4点目は性格の違い。猫の性格にもよります。好奇心が強く活発な猫もいれば、のんびりとした性格の猫もいます。最後に5点目、環境の影響。飼育環境が運動不足を招く場合も。狭い空間や運動機会の少ない環境では、猫の運動能力が低下することがあります」

――なるほど…遺伝や性格、また環境の影響などがあるようですね。石井先生はこれまで「運動音痴」だなと思う猫ちゃんを診察したことはありますか。

「診たことはありますが、珍しい。外にいた猫の方が活発な子が多いですね」

「運動音痴」な猫、普段の生活で注意しておきたいこととは

――「運動音痴」の猫ちゃんを飼っている人への普段の生活で注意しておきたいことなどアドバイスがあったらお願いします。

「まずは健康チェックが大切です。獣医師に相談し、健康上の問題がないか確認してください。もし運動音痴と分かれば、キャットタワーやおもちゃなどを使って猫が遊べる環境を整え、運動の機会を提供したり。同時に栄養バランスの取れた適切な食事を提供し、健康をサポートしたりすることをオススメします。運動に関しては、無理のない範囲で運動させ、少しずつ筋力やバランス感覚を鍛えるとよいでしょう」

――最後に「運動音痴」の猫ちゃんを飼っている人たちへメッセージを。

「猫の運動音痴は、病気でなければ深刻な問題ではないです。ただ、高い所に登って落ちてケガをすることがあるので、高いところに登らせない、階段を使わせないなど注意してあげてください」

■石井万寿美先生のプロフィール■
獣医師、作家、まねき猫ホスピタル院長。酪農学園大学大学院獣医研究科修了。Yahoo!ニュースエキスパートオーサー。『笑っていいとも』などTV出演。著書は『動物のお医者さんになりたい』シリーズがベストセラー。主な著書『動物のお医者になりたい』『虹の橋のたもとで』『老犬との幸せな暮らし方』。「がん」に関するブログを書いている。

(まいどなニュース特約・渡辺 晴子)