卵子の正常形成にDNA特定スイッチ関与 不妊治療や流産予防に期待
毎日新聞6/16(月)15:55

「H3K4me3」(画像のピンク色部分)が蓄積した卵子染色体の様子=宮本圭・九州大教授提供
卵子が正常に形成されるためには、体細胞などでDNAの転写を促す特定のスイッチが必要だと、九州大などの研究チームが発見した。老化した卵子ではスイッチが異常に減っており、不妊治療や流産の予防のための標的として期待できるとしている。
卵子は、もととなる卵母細胞が分裂して形成される。このとき染色体が正確に分配されることが、卵子が受精後に正常に発生するためには必要となる。
一方、成熟した卵子内では転写が停止しているにもかかわらず、体細胞などで転写の促進に関わるスイッチ「H3K4me3」が多くあることが知られており、役割が分かっていなかった。
チームがマウスの成熟した卵子を解析したところ、このスイッチがX染色体といった特定の染色体上で、細胞膜側に偏って存在していた。スイッチを除去すると、染色体の分配に必要な構造である「紡錘(ぼうすい)体」が不安定になった。さらにこの卵子を体外受精させると、胚の発生が止まることも分かった。
高齢マウスの卵母細胞ではスイッチの量が減少しており、加齢に伴い卵子の質が低下する一因の可能性もあるという。九大の宮本圭教授(生殖生物学)は「加齢に伴う不妊などの原因だと分かれば、(スイッチを)調整する酵素などを使って治療することも原理的には可能になる」としている。
論文は5月29日の米科学誌「ジャーナル・オブ・バイオロジカル・ケミストリー」電子版に掲載された(DOI:10.1016/j.jbc.2025.110308)。【寺町六花】












