飲み会より「サシトーク」 社員の親睦、社内ラジオで親近感アップ

毎日新聞6/20(金)11:15

飲み会より「サシトーク」 社員の親睦、社内ラジオで親近感アップ

坂和寿忠社長(右)と社員が差し向かいで進める社内ラジオ番組「サシトーク」。好きなことを語り、なごやかな雰囲気に=愛媛県東温市で2025年6月17日、松倉展人撮影

 社長と社員が差し向かいで作り上げるトーク番組「サシトーク」。マイブーム、趣味、おすすめの映画、仕事に役立つツール……。身近な話題から、個性あふれるエピソードまで。社長を聞き手に、社員が語る。2024年1月から愛媛県東温市の黒板メーカー「サカワ」の社内ラジオで始まった試みだ。シリーズ化して11回。「飲み会よりずっと効果的なコミュニケーションツール」と、担当者の自信は確信となっている。

 サカワは1919(大正8)年創業の黒板メーカー。近年は黒板とプロジェクターを組み合わせた教育ICT(情報通信技術)分野に進出し、愛媛本社と東京支店に計25人の社員がいる。坂和寿忠(としただ)社長(39)によると、「最近は雑談の機会が減っている」という実感から、トーク番組のアイデアが生まれたという。

 新型コロナウイルスの流行を機に、オンラインでのやりとりが当たり前になり、相談や打ち合わせは実際に顔を合わせなくても効率よく進むようになった。でも同じ職場で働く人同士、たわいない話で互いを理解し、親近感を持つことはとても大切ではないか。そんな思いからラジオ好きの同社企画事業部員、柴田光一さん(41)を誘い、社内ラジオ番組「サシトーク」をつくることにした。

 収録に先立って「最近のマイニュース・マイブーム」「帰社後、また休みの日の過ごし方」「おすすめのエンタメ(本、漫画、映画、ドラマ、ユーチューブなど)」「私しか知らない○○さん(社員)の素敵な横顔、エピソードを教えて」などのアンケートを行い、番組は1時間前後、坂和さんを聞き手に進行する。リスナーは社員限定。パソコンやスマートフォン上のコミュニケーションアプリで何度でも聞くことができる。勤務中に聞くのもOKで、デスクワーク中や移動中に耳を傾ける人もいる。

 17日には同社総務チーム、石坂茉莉衣(まりえ)さん(35)が出演する12回目の収録が愛媛本社であった。半年前に東京から愛媛に移り住み、帰宅時や休日は「空が広い」と感動する日が多いという石坂さん。マイブームは「怖い話を読むこと」と打ち明けて好きな本や映画の話題に進み、軽妙なトークが続いた。

 「これまでの番組でも、おじいさんが1964年の東京五輪の水泳選手だったことを社員から初めて聞くなど、一人一人を深く知ることができるのが何よりもうれしい。番組はまだまだ続けます」と坂和さん。「私たちのような会社だけでなく、例えば教育現場でも生徒と先生、生徒同士の『校内ラジオ』のような取り組みがあれば、それぞれが個性を理解しやすくなるのでは」と、ラジオの効能に注目している。

 「他の部署や異なる働き方をしている社員同士が自然に会話できるきっかけになっている」と社員に評価される番組だが、「飲み会」が消えたわけではない。半年に1回、全社で集まるイベントの打ち上げでは2次会、3次会までの参加率が7割を超え、しっかり楽しんでいるようだ。【松倉展人】

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