<ロシアW杯>初のビデオ判定「VAR」導入

 今回のワールドカップ(W杯)から、三つの新ルールが適用される。いずれも競技規則を定める国際サッカー評議会(IFAB)で今年3月に正式承認されたもの。サッカーの歴史が変わる分岐点となる可能性もある大きな変更だ。【大島祥平】

 (1)ビデオ・アシスタント・レフェリー(VAR)

 映像をチェックする補助審判が主審に助言するもので、W杯で初採用となった。適用は、得点▽PK▽レッドカード▽警告などの選手間違い−−の4項目に関わるもので、「明らかな誤り」に限り判定がされる。

 VARが威力を発揮するのはライン際のボールのイン、アウトや、オフサイドなど客観的事実の確認だ。IFABはこれまでの2年間でVARが導入された972試合を分析し、正しい判定率は93%から98.8%まで上がったと自信を見せる。今も語り継がれる、1986年大会でマラドーナ(アルゼンチン)が手でボールに触れながら決めた「神の手ゴール」のような誤審は極めて起こりにくくなる。

 一方で適用場面は限定的であり、100%正しい判定をもたらせるわけではない。サッカーには選手同士の接触の程度など、審判が主観で判断する事象も多い。見方によって意見が分かれるレベルのものは「明らかな誤り」ではなく、あくまで最終決定は主審に委ねられることは変わらない。

 (2)テクニカルエリア(監督やスタッフが選手に指示を出すことができるベンチ前の区域)内での通信機器の利用

 従来は八百長防止のために禁止されていたが、技術の進歩で規制にも限界があることから、ベンチに携帯電話やノートパソコンなどを持ち込み、戦術的な指示や分析のために使用することが認められた。

 現代サッカーはデータの活用が急速に進歩している。選手の動きを自動追尾するトラッキングデータなど試合中にリアルタイムで送られてくる情報も踏まえ、どう分析し、いかに采配に生かすかも明暗を分けるポイントとなりそうだ。監督が退席となった場合も外部からベンチへ指示が出せる。

 (3)延長戦で4人目の交代が可能に

 通常3人までの選手交代枠について、延長に入った場合に4人目が認められる。選手の疲労などを考慮したルール改正で、2016年リオデジャネイロ五輪などで試験的に導入されてきた。W杯は決勝トーナメントに入ると延長戦が実施される。これまでは延長戦を考慮し、試合終盤で3人目の交代をちゅうちょするケースもあったとみられるが、4人目枠があることで思い切った選手起用が可能になるなど、指揮の幅も広がることになる。

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