聴力の低下は40代から!「加齢性難聴」の基礎知識

「加齢性難聴」をご存知ですか? 加齢に伴って誰にでも起こる症状ですが、実は認知症のリスクを高めるともいわれており「単なる老化」で見過ごすわけにはいかない病気なのです。そこで、この「加齢性難聴」の特徴などについて、JCHO 東京新宿メディカルセンター 耳鼻咽喉科診療部長の石井正則先生にお話を聞きました。
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加齢に伴い誰にでも起こる、社会生活に支障を来す病気
加齢による難聴は個人差が非常に大きく、比較的若いうちから発症する人もいれば、高齢でも聞こえが悪くならない人もいます。一般的に40歳代から聴力の低下が始まりますが、軽度のためほとんど自覚することはありません。しかし、60歳代になると、聞こえの悪さを自覚する人が急激に増えます。
65〜74歳では3人に1人、75歳以上では約半数が加齢性難聴に悩んでいるといわれています。
加齢性難聴になると、家族や友人とのコミュニケーションがうまくいかずに孤立感を覚えたり、必要な音が聞こえず危険を察知できなかったりと、社会生活に支障を来します。
耳の奥には、毛の構造を持った「有毛細胞」があり、鼓膜から伝わってきた音の振動を周波数別に受け取り、脳へ伝達する役割をしています。この有毛細胞が加齢によってダメージを受け、その数が減少することで、音の情報をうまく脳に送ることができなくなります。また、脳へ伝達する神経経路に障害が起きる、脳の認知能力が低下するなども影響している可能性があり、さまざまな要因が複雑に重なっていると考えられています。
■耳の構造と聞こえの仕組み
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伝音系(音を集めて振動に変える)
感音系(振動を電気信号に変えて、神経・脳へ伝達する)
1.耳介(じかい):音(空気の振動)を集める
2.外耳道(がいじどう):音を共鳴させる
3.鼓膜:空気の振動をキャッチする
4.耳小骨(じしょうこつ):鼓膜の振動をさらに増幅させて蝸牛(かぎゅう)に伝える
5.三半規管(さんはんきかん):回転感覚を前ぜん庭てい神経に伝える
6.前庭神経:平衡感覚を脳に伝える
7.蝸牛神経:音の電気信号を脳に伝える(6、7を聴神経という)
8.蝸牛:音の振動を電気信号に変えて蝸牛神経に送る
9.耳管(じかん):耳と鼻の奧をつなぐ管
■主な特徴
・左右両耳とも聞こえが悪くなる
・高い音が聞こえにくくなる
・高音性の耳鳴りがする
・言葉の聞き間違いが増える
■主な治療法
・根本的な治療法はない
・会話ができないなど日常生活が
・不自由な場合は補聴器の使用を検討
・補聴器は丁寧な音合わせが重要

取材・文/古谷玲子(デコ) イラスト/メイタ ハセガワ

<教えてくれた人>

石井正則いしい・まさのり)先生

JCHO 東京新宿メディカルセンター 耳鼻咽喉科診療部長。1980年東京慈恵会医科大学卒。84年同大学院修了とともに米国留学。87年に帰国後、同大耳鼻咽喉科耳鼻咽喉科医長、同大准教授を経て現職。『耳鳴りがスッキリする呼吸がわかった』(マキノ出版)など著書多数。


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