「いい人」はなぜ「あの人、困っていてかわいそう」と思ってしまうのでしょう?

上手に気遣いしながら、つい「いい人」になって、ツラくなってしまっている人いませんか? そこで、カウンセリング歴25年、8万件を超える臨床経験のカリスマ心理カウンセラーの最新作『「ひとりで頑張る自分」を休ませる本』(大嶋信頼/大和書房)のエッセンスを、連載形式でお届け。脳科学と心理学に基づいた「自分中心」になる生き方で、周囲も自分も輝かせる秘訣をご紹介します。
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「いい人」でいる限り、自己肯定感は育たない
私は子どものころ、「人の気持ちを考えるのはやめよう!」と決心して学校に行くのですが、いつの間にか「かわいそう」トリガーが発動して「いい人」を演じてしまっていました。
いつも「いい人」を演じてはいけない相手に「いい人」をやってしまっていじめられ、不快な思いをするということを毎日のように繰り返していました。
「いい人」になって嫌な思いをするので「人の気持ちなんか考えたくない」と思うのですが、やっぱり人の輪に入ってしまうと、どうしても「かわいそう」と思って「いい人」になってしまうんです。
私はずっと「人から嫌われたくない弱虫だから、すぐに『いい人』になってしまう」と思っていました。
確かに「人から嫌われたくない」という気持ちは強かったのですが、街を歩いていて「あの人、困っていて、かわいそう」と思ってしまうのは「弱虫」とか「嫌われたくない」とは関係ないような気がします。「弱虫」というよりも、「困っている人を自分がなんとかしてあげなければ」と気になるのだから自分は「強者」になります。
では、普段は弱虫で何もできない人間だから、困っている人を助けて優越感に浸ろうとしているのでしょうか。
でも「いい人」って人から感謝されるのが苦手で、「いい人」をやって「ありがとう」と言われると恥ずかしくて顔が真っ赤になってしまうことがあるので、「優越感じゃないでしょ!」となるんです。
むしろ「自分には何の価値もないから、いい人になってちょっとでも人の役に立たなければいけない」という感覚。
「いい人」になってしまう人は、どんなに勉強ができたって、優秀な学校を卒業していたって、自己肯定感が低いから「自分には何もない」と思ってしまう。
いくら仕事ができて会社から認められていても自己肯定感が低ければ、謙遜でもなんでもなくて「自分には何もない」と、本人の中では本気で「何もない」という感覚になってしまう。
誰かから褒められても、給料が高くなっても、自己肯定感が低いから「周りは本当の自分をわかっていない」と思う一方で、褒められるような人間ではない、そんな高い給料にふさわしくない、という感覚になってしまう。
ようするに、一般の人が「仕事ができたら自己肯定感が上がる」とか「お給料が増えたら自己肯定感が上がる」と想像しちゃうのはすべて幻想で、低い自己肯定感はなかなかそんなことでは高くなりません。
だったら「いい人」は自己肯定感を高めるために「いい人」を自動的にやってしまうのかというと、そこは言い切れません。
「いい人」になってしまう瞬間の自己肯定感は、決して低くはありません。
なぜなら、相手のことを「かわいそう」と思えるということは「相手よりも自分のほうが立場が上」となっているということだから。
でも、相手に「いい人」をやってしまった直後は、すぐに「あ!あんなことをするんじゃなかった!」とか「なんでもっとちゃんとできないんだろう?」と後悔してしまい、自己肯定感は元の低い状態に戻っていることになります。
「いい人」をしている時の自己肯定感の高さを求めているということもありますが、もっとほかに理由があるんです。
それは、「いい人」が子どものころに自己肯定感が下がってしまった原因にあります。
「いい人」は子どものころに「かわいそう」な状況がありました。
でも、だれも本当の意味で「いい人」の気持ちをわかって助けてくれる人がいなかった。そして、「いい人」はかわいそうなまま放置をされてしまったから、「自分は大切にされる存在じゃない」「自分には価値がない」という風に自己肯定感が低くなってしまった。
そんな「いい人」は、困っている人の中に過去の「かわいそう」な自分を映し出し、その過去の自分を助けようとしているのです。
どんな人の中にも「かわいそう」なストーリーを見出せてしまうのは、「いい人」が過去に誰からもわかってもらえなかった体験をしてきたから。
だから困っているように見える人に対して「かわいそう」というストーリーを簡単に作り出せてしまう。
「いい人」がいろんな人に過去の自分を映し出してやっていることは、「過去の自分を救おう」という努力。
でも、いくら他人を助けても過去の自分は助けられないにもかかわらず、「いい人」になるのがやめられなくなっているんです。

81zSXNBZEWL.jpg第3章「自己肯定感をジャマする万能感を捨てる」、第6章「『嫌われる』が怖くなくなる」など、「いい人」をやめたくてもやめられない人のための「目からなうろこ」のメソッドで、心が晴れる一冊です

大嶋信頼(おおしま・のぶより)

心理カウンセラー、株式会社インサイト・カウンセリング代表取締役。ブリーフ・セラピーのFAP療法(Free from Anxiety Program)を開発し、トラウマのみならず多くの症例を治療している。カウンセリング歴25年、臨床経験のべ8万件以上。著作は累計45万部を超える、今もっとも人気のカウンセラーのひとり。


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