数字を使って社会を見ると、意外なことがわかるかも!? 統計をしっかり見ると、じつは自分が思っていたことや当たり前だと感じていたことが、実体とは違っていることもあります。数字はふだん見逃している、さまざまな側面を発見するヒントになるのです。そんな数字とイラストを使って、さまざまな事象を解説する『大人も子どもも知らない不都合な数字』(フォレスト出版)にて、数字の背景を考えながら社会問題に向き合っていきましょう。
※本記事はチャリツモ著の書籍『大人も子どもも知らない不都合な数字』(フォレスト出版)から一部抜粋・編集しました。

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※写真はイメージです(画像提供:ピクスタ)

日本全国のひきこもりの人数146万人
厚生労働省の定義によると、仕事や学校に行かず、かつ家族以外の人との交流をほとんどせず、6カ月以上続けて自宅にひきこもっている状態を「ひきこもり」といいます。
2022年に内閣府が行った調査によると、15〜39歳までの若者の2.05%、40〜64歳の中高年の2.02%がひきこもりの状態にあることがわかりました。日本全国のひきこもりの総人口は146万人と推計されています。
2019年調査の115万人から30 万人も増えていますが、その最大の理由はコロナ禍です。ひきこもりになった理由をたずねる質問には約5人に1人が「新型コロナウイルス感染症が流行したこと」と回答しています。

かつては若者の問題とされ、40歳以上を対象とした調査が行われていなかった「ひきこもり」。しかし、2019年に初めて中高年を対象にした調査の結果、中高年層にも若年層と同じくらいの数のひきこもりがいることがわかって以来、全世代の問題と認識されるようになりました。現在のところ、世代にかかわらず、50人に1人の割合でひきこもりがいるといわれています。
また、以前の調査では「主婦(夫)」や「家事・手伝い」の人をひきこもりとカウントしていなかったため、ひきこもりは男の問題ととらえられがちでした。しかし2019年調査からはそれらも除外せずにカウントするようにした結果、ひきこもりの男女比はほぼ半々であることがわかりました。
私たちはだれでも、いつでも、さまざまな理由で、ひきこもりになる可能性があります。
「こうあるべき」という社会規範や同調圧力が強い社会の中で、ふとした拍子に糸が切れてしまうこともあれば、退職や介護など、思わぬきっかけで社会のレールから外れてしまうこともあるでしょう。
孤独は精神や身体を蝕み、生きる力を奪います。ひきこもりが長期化すればするほど、孤独によるダメージは深まり、社会とのつながりを取り戻すのは難しくなります。力を奪われた当事者や家族だけで解決するのは難しい問題ですから、当事者それぞれが自分にあった方法で社会参加できるための社会的支援が必要です。
※掲載されている情報は2024年2月現在のものです。
(参考)
・ひきこもり支援施策について(厚生労働省)



チャリツモ
これまで遠く感じていた社会問題を、自分ごととしてとらえるきっかけを提供し続けるクリエイター集団。「そうぞうしよう。そうしよう」がキャッチコピー。本書のベースとなっているWEBサイト「チャリツモ」をはじめ、10代の若者が抱える性のモヤモヤにこたえる「セイシル」(運営会社はTENGAヘルスケア)や「日本財団 Instagram」など、WEBメディアを中心にさまざまな媒体の運営に携わっている。