多くのビジネスパーソンがデジタルツールを使いこなす現代。反面、対人スキルが身についていない、コミュニケーションの正解がわからないという方も多いのではないでしょうか? 大手広告会社で30年間営業職として勤務した経験を持つ、気くばりのプロフェッショナル・後田良輔氏が、そんなお悩みを解決! 1テーマたったの3分で「昭和の仕事術(アナログコミュニケーション)」が身につきます。『今こそ使える昭和の仕事術 ビジネスマン30年生の経験がたった3分で身につく』から、知っている人と知らない人で大きな差が生まれる昭和の仕事術を紹介。昭和の仕事術を令和の今、生かしましょう!
※本記事は後田良輔著の書籍『今こそ使える昭和の仕事術 ビジネスマン30年生の経験がたった3分で身につく』(かんき出版)から一部抜粋・編集しました。

02_pixta_98377736_M.jpg
※写真はイメージです(画像提供:ピクスタ)

「自分のつむじ」を相手に見せるようにお辞儀する

【やり方】
お辞儀する際は自分のつむじを相手に見せる。
【効果】
「丁寧なあいさつをされた」という印象を相手が感じる。

つむじは「好印象・悪印象」の分岐点
「売れるタレントのあいさつは誰にでも丁寧、消えるタレントのあいさつはぞんざい」
30年の広告業務を通じて私が発見した「売れるタレント・消えるタレント」の結論です。
売れていくタレントはどんな人にも低姿勢。分け隔てなくあいさつし、一番下のアシスタントディレクターにも丁寧にお辞儀をします。一方、消えるタレントのあいさつは本当にぞんざい。偉い人だけにあいさつしてあとは知らんぷりがほとんどです。結果、失礼な人と思われたタレントは嫌われ、自然と仕事が減っていく実例を何十人と見てきました。
ただこれはタレントだけの話ではありません。自分はあいさつしたつもりでも相手にきちんと認識してもらえず、失礼な人と誤解される罠は私たちの日常にも潜んでいます。事実、就職活動で「お辞儀は30度の角度で」「1で深く曲げ、2で止め、3・4で戻す」などと教わりましたが、30度や深いお辞儀が客観的にわからず、誤解を受けている人は多々います。
そこでおすすめなのが「自分のつむじ」を相手に見せる方法です。つむじは頭の頂点のやや後方にありますので、これを相手に見せるだけで自動的に深々としたあいさつになります。
人は、自分を軽く扱う人を不快に思い、逆に持ち上げてくれる人に好感を持つ生き物です。「好印象と悪印象」の分岐点はつむじにあります。ぜひつむじであいさつしてみてください。

お見送りのお辞儀は相手が見えなくなるまで

【やり方】
相手の気配がなくなるまでお辞儀をし続ける。
【効果】
相手に余韻(よいん)を感じてもらえる。

一流は余韻で人を判断する
「相手が見えているうちに顔を上げたら負け」
社会人1年目に先輩に教わった言葉です。
先輩曰く、お辞儀はだるまさんが転んだと同じで、先に動いたら負け。相手がいなくなった気配を感じてから顔を上げないと、「礼が浅い・自分を軽んじる失礼な人だ」と勘違いされるとのことでした。
日本人は余韻を重視します。
たとえば除夜の鐘。ゴーンと音が鳴り終わったのちに、かすかに鐘の音が残る。また音が消えたのちも、なお耳に残る響きがあり、その様に心が癒やされます。
これと同じような余韻を、相手はあなたのお辞儀の待機時間に感じています。
他にもドアの閉め方や椅子の戻し方、ノートパソコンの閉じ方にも余韻は存在します。
一流と呼ばれる人ほど、それらの余韻で周囲に対しての敬意の有無や仕事に対しての意識の高さを推察し、今後の付き合い方の判断材料にしています。
たかが余韻、されど余韻。
私が出会ってきた3000名のVIPは、去り際の余韻を大切にしていました。
誰も見ていなくても神様が見ているという視点で自分の行動を見直してください。そうすればお辞儀の待機時間もおのずと最適な時間になっていきます。


後田良輔
大手広告会社に30年間営業職として勤務し、誰でも使える「タイムパフォーマンス抜群の気くばり(略してタイパ気くばり)」を駆使する気くばりのプロフェッショナル。これまで応対したVIPは、世界企業のCEO、東証上場会社の社長、政治家、医者、弁護士、大学教授、大物俳優、ミリオンセラー作家、世界No.1クリエイターなど総勢3000名を超える。この特別丁寧に接しなければならない顧客との交流で磨かれた上質なスキルと、「東京・名古屋・大阪」のビジネス三大都市で、実際に住んで身につけた30年のリアルな経験をぎゅっと凝縮させた誰でも使える「タイパ気くばり」に定評がある。