9月19日から9月25日の7日間が2020年の秋のお彼岸です。さて、知っているようで意外と知らないのが、お彼岸の由来や準備、そして古くから伝わるしきたりなどです。社会人として知っておくべきお彼岸の豆知識をお届けします。

「彼岸」とは仏教用語でご先祖様がいる極楽世界

春分の日と秋分の日の前後3日間を合わせた7日間を、お彼岸といいます。日本では、この期間にお墓参りや祖先を供養することになっていますが、これは日本独自の風習です。

ところで、彼岸(ひがん)の意味をご存じでしょうか。仏教では、ご先祖様のいる世界(極楽)を「彼岸」といい、西に位置しています。それに対して、いま私たちが生きている世界を「此岸(しがん)」といい、東に位置しているとされています。

お彼岸の中日(ちゅうにち/なかび)である秋分の日は、太陽が真東から昇り真西に沈み、昼と夜の長さがほぼ同じになるため、彼岸と此岸がもっとも通じやすい日になると考えられたようです。

ちなみに、現実の世界である「此岸」は、煩悩と迷いが多いものですが、この期間に先祖の供養をすることで、「彼岸」の極楽浄土へ行くことができるのではないかという、願いが込められていたようです。

“おはぎ”と“ぼたもち”

では、お彼岸には、一体、何をどうすればよいのかを見ていきましょう。

お彼岸には、お盆の時のような決まった行事や飾りつけなどはありませんが、欠かせないのがお墓参りです。

また、お墓参りでは、墓石を水で洗い、お墓回りの雑草を抜き、きれいにしましょう。そのうえで、お花やお線香をお供えし、ご先祖様に感謝の気持ちを伝えるように、静かに手を合わせます。

また、仏壇がある家庭では、仏壇や仏具の掃除をし、おはぎや季節の果物、菓子、精進料理などをお供えします。

ちなみに、“おはぎ”は漢字で書くと「お萩」で、秋に花を咲かせるの“萩の花”からきています。一方、春のお彼岸では、春に花を咲かせる牡丹の花にちなんで“牡丹餅(ぼたもち)”お供えします。もちろん、呼び方が違うだけで同じものです。

違いというほどではありませんが、牡丹餅は豪華な牡丹の花のように大きく、おはぎは萩の花の小ささや上品さをあらわすように小ぶりにつくられます。

また、牡丹餅にもおはぎにも使われる小豆は、昔から悪いものを追い払う効果があるとされてきました。お彼岸の時期に小豆を使った食べ物のお供えや食べることは、種を撒き始める春と、収穫の秋への感謝や祈りとも深く結びついていたのかもしれません。

始まりは平安時代か?

お彼岸に仏教的な行事を行うのは、世界中でも日本だけの風習といわれていますが、いつごろから広まったものでしょうか。

平安時代初期から朝廷で行われるようになり、江戸時代に年中行事に発展したという説や、聖徳太子の時代からという説まで、いろいろあるようです。平安時代の歴史書「日本後記」によると、806年に彼岸会が行われたという記録があるそうですから、平安時代ころ・・・というのが妥当なところではないでしょうか。

地域によっては、仏教とは直接関係のない行事も行われていたようです。ユニークなのが、お彼岸期間中の1日を、午前中は東に、午後は西に歩くことで、太陽のお供をするという「日迎え」「日送り」というものです。また、お彼岸の時期に山に登る「彼岸籠り」という習わしもあったそうです。

いずれにしても、ご先祖様を敬い、感謝の気持ちを伝える期間がお彼岸です。墓前で静かに手を合わせ、アフターコロナがどのような時代になるのか、ご先祖様にお伺いしてみるのもいいかもしれません。

まとめ

お彼岸は、お盆と並ぶ故人や先祖をしのぶ、大切な時期です。猛暑続きの夏が終わり、1年の中でも気過ごしやすい時期でもありますから、ご家族揃ってお墓参りなどに行かれてはいかがでしょうか。