時短勤務は、短時間勤務制度を利用し子育てや介護をしながら働ける勤務形態です。すべての企業において導入が義務化されています。

少子高齢化対策や働き方改革の推進において、欠かせない制度だと言えるでしょう。そこで今回は、時短勤務について制度の内容をわかりやすく解説していきます。

時短勤務とは

時短勤務とは、フルタイムよりも短い労働時間で働く勤務形態のことです。時短勤務には、おもに2種類あります。1つは、法律によって定められている制度です。もう1つは、会社が独自に設けているケースです。一般的に時短勤務といえば、前者のことを指します。

時短勤務について規定している法律は「育児・介護休業法」です。2009年、従業員が101人以上の企業を対象に、短時間勤務制度を導入することが厚生労働省によって義務付けられました。

その後、2012年の改正によって、従業員数100人以下の企業も対象となります。2017年の改正では、従業員からの申し出があった場合、事業主は労働時間短縮の要望に応じる、もしくは代替措置をとることが明記されました。

現在では、事業規模や社員数に関係なく、すべての会社に短時間勤務制度の導入が義務付けられています。

時短勤務の対象者

しかし従業員が、短時間勤務制度を利用できるわけではありません。以下の条件を満たした労働者が対象となります。

(引用:短時間勤務制度(所定労働時間の短縮等の措置)について|厚生労働省

これら5つの条件に該当する場合、1日の所定労働時間を原則として6時間とする短時間勤務制度が利用できます。子供が3歳の誕生日を迎えるまでが対象期間です。

一方で1週間の所定労働日数が2日以下の労働者や日雇いの従業員、入社1年未満の労働者などは対象外となります。

短時間勤務制度が対象外の場合はどうなる?

では3歳以上の未就学児童を養育する従業員、もしくは介護を要する家族を持つ従業員は、短時間勤務制度を利用できないのでしょうか。

そのような場合も短時間勤務制度の代わりに、以下の措置を講じることが義務付けられています。

【3歳以上の未就学児童を養育する従業員】 育児休業に関する制度所定外労働の制限に関する制度始業時刻変更等の措置 【介護を要する家族を持つ従業員】所定労働時間を短縮する制度フレックスタイム制度始業・終業時刻の繰上げ、繰下げ(時差出勤の制度)労働者が利用する介護サービスの費用の助成その他これに準ずる制度なお介護の場合、制度開始日から連続する3年以上が利用期間として認められています。

【引用:育児・介護休業制度ガイドブック|厚生労働省】

これらの措置は、企業によって内容が異なります。義務付けられてはいますが、詳細はそれぞれの企業努力によるところなので、自社の就業規則をしっかりと確認しておく必要があるでしょう。また、制度を利用できたとしても、対象外となればフルタイム勤務に戻ることになります。

時短勤務の目的

時短勤務が推進されるようになった背景として、近年の社会問題が大きく関係しています。

例えば、少子高齢化や労働者不足の慢性化などが挙げられます。以前は出産・育児のために離職せざるを得ないという状況がありました。その度に、企業は人材募集・育成をしなければなりません。また労働者も、再就職先などを探す必要があります。

しかし時短勤務によって、子育てをしながらでも、仕事ができる環境が整っています。このような対策は、離職の防止や定着率の向上にもつながるでしょう。従業員は、長期的な視点でキャリアプランを立てることが可能です。

また働き方改革において、働き方を多様化させるための手段として、家庭と仕事を両立させるワーク・ライフ・バランスに注目が集まっています。時短勤務は、その一環として導入されています。

実際に、2019年の時点で時短勤務制度がある事業所の割合は72.1%と、前年度に比べ 3.1%上昇傾向にあります。

【参照:「令和元年度雇用均等基本調査」の結果概要|厚生労働省】

例えば、女性の従業員が多い「株式会社髙島屋」(百貨店)や「株式会社ワコール」(衣料品メーカー)など、積極的に制度を導入する企業が増えてきています。今後も、この動きはさらに加速していくと予想されます。

時短勤務で給与はどうなるのか?

時短勤務によって、給与はどうなるのでしょうか。

賃金の保証については法律で規定されていません。各企業に委ねられていますが、労働時間が短縮された分、減給される傾向にあります。

例えば、8時間の所定労働時間が6時間になった場合、総労働時間は4分の3になるので、基本給も4分の3として計算されます。フルタイムでの基本給が20万円であれば、支給額は15万円です。

しかし歩合制や裁量労働制を導入している企業などでは、一部例外があります。成果によって給与が評価されるため、基本給が変わらないというケースもあるようです。

また減給に関連して、問題視されている点があります。それは業務量です。労働時間・給与が減っても、業務量が減るわけではありません。仕事を途中で切り上げたり、都合によって対応ができなかったりと、業務に支障をきたす恐れがあります。

時短勤務を検討する場合は、労働時間だけではなく給与や業務など複合的な視点から考えなくてはならないでしょう。

まとめ

短時間勤務制度はすべての企業で義務化されていますが、すべての職場において理解が浸透しているわけではありません。

中には、制度利用者に対して賛同しない声もあります。周りの従業員に業務の負担がかかり、不公平感を抱かせてしまうためです。今後、このような人間関係トラブルを回避するためにも、制度への理解を促していく必要があるでしょう。