日本企業の女性取締役比率は、欧米と比べるときわめて低い水準にとどまっていますが、女性活用に積極的な企業ほど業績や株価が上昇する傾向があり、女性を経営陣に登用するよう求める投資家の声も大きくなりつつあります。では、女性活用に積極的な企業と業績・株価には、どのような相関関係があるのでしょうか。

2020年の女性役員の割合はわずか6.2%

2012年の女性活躍推進法が施行となったことで、2020年には上場企業の女性役員数は約4倍に増えています。しかし、女性役員の割合はわずか6.2%(東洋経済新報社会社四季報調べ/2020年)と、諸外国に比べきわめて低い水準にとどまっています。

長らく続いてきた男性優位社会の影響が、未だに根強く残っていることもその要因の一つと考えられますが、資本市場では女性活躍推進企業を高く評価する動きが加速しているため、女性登用に積極的に取り組む姿勢が経営陣には強く求められています。

女性取締役比率と株価や業績との相関関係

では、積極的に女性登用することによって、企業にどのようなメリットがあるのでしょうか。日経xwomanが、東証1部上場企業2,191社の時価総額ランキング上位300社を対象に、女性取締役の比率と株価や業績との関連などをランキング形式で発表しており、女性取締役を増やすことが企業にとって実益があるのかについて考察しています。

日経xwoman編集部による、5年前時点での女性取締役比率と、直近の株価や業績との関係の比較では、女性取締役が多いからといって株価や業績にプラス影響を与えているという明確な結果は見出せませんでした。しかし、ある一つのグラフでは「女性活躍度が進むほど企業の業績や株価にプラス」という事実が示されました。

そのグラフとは、智剣・Oskarグループ主席ストラテジストの大川智宏さんの、女性活躍が進んだ企業で構成される「MSCI日本株女性活躍指数」と、女性活躍度を加味しない「MSCI日本株指数」を比較したものです。

そのなかで、女性活躍が進んでいる企業の方が、日本企業の平均よりも過去5年で株価がより上昇している、という結果がわかりました。

株価上昇の背景には「ESG投資のブームが株価に強く影響を与え、それが、女性活躍が進んだ企業の株価を押し上げていることは間違いない」というのが、グラフ作成者である大川さんの見解です。

ESG投資とは、環境、社会、企業統治の要素を考慮し投資先を選択するという考え方です。このESGのなかには、ジェンダーの平等も含まれており “女性登用に積極的な企業”に投資家の注目が集まることになるようです。

増益率が高い女性管理職の多い企業

企業にとっては、株価上昇とともに気になるのが、女性活躍度が高い企業の業績の向上が認められていることではないでしょうか。

2016年3月末時点の女性管理職比率で上位の企業群と、下位の企業群の業績を比較した結果は、「女性管理職の多い企業は増益率が高く、女性管理職が特に少ない企業は平均して減益」(大川智宏さん)というものでした。

女性が活躍できる場を多く提供できる企業は、積極的に人材に投資することもできる業績が好調な企業で、女性管理職を育成しやすいこともあるでしょう。一方、業績が悪い企業は、その余裕すらなく、投資家が求めるESGなどのテーマにも対応できないというのが現実かもしれません。

女性が当たり前にキャリアアップを目指す職場環境づくり

少子高齢化やグローバル化など、事業環境が大きく変化するなかで、多様な意見を経営に反映する動きが活発になっています。

単に女性役員を増やすだけでなく、まず女性の管理職ポストを増やすなど、女性が当たり前にキャリアアップを目指す職場環境をつくりあげるところから始める必要がありそうです。その延長線上に株価や業績の上昇があるのかもしれません。

まとめ

大量生産・大量消費・大量廃棄の高度経済成長時代には「亭主元気で留守がいい」や、「私、食べる人、私、つくる人」の、CMキャッチフレーズが受け入れられていました。しかしジェンダーフリーの今、それは明らかにNGです。しかも、女性活躍推進が株価や業績に影響するとあれば、女性を生かし、経営参画を促すことこそが、日本企業が取り組むべき課題といえそうです。