新型コロナウイルスの感染拡大により急速に広まったテレワークですが、それに合わせて経理・財務部門の業務効率化につながるクラウドサービスを導入する企業も増えています。なかでも注目度が高いのがクラウドサービス(SaaS)ですが、「機能がわかりづらい」などの声もあり、導入はしたものの十分に使いこなせていない課題もあるようです。

SaaSとは「サービスとしてのソフトウェア」

経理・財務部門の業務効率化は企業にとって喫緊の課題ですが、効率化を進めるためには請求書などの書類を紙から電子データに移行しなければなりません。そこで期待されているのがクラウドサービスの活用です。

クラウドサービスには、その構成要素によって大きく「SaaS」「PaaS」「IaaS」の3つに分類できますが、その中でも注目度が高いのがSaaS(Software as a Serviceの略)ではないでしょうか。

SaaSは従来パッケージソフトとして提供されていた機能をインターネット経由で必要な分だけサービスとして利用することができ、業務の自動化による人的ミスの削減や人件費の削減、そして請求書など紙の書類の電子データへの移行もスムーズに進むことが期待されています。

SaaS導入後の課題の最多は「UX、機能のわかりづらさ」

クラウド請求書処理サービス「LayerX インボイス」を提供する株式会社LayerXの調査によると、新型コロナウイルス感染防止対策としてのテレワーク導入は49.6%で、そのうちSaaSを活用しているのは70.4%とその割合は高く、テレワークとSaaSの活用が深く関わっていることがわかります。

SaaSはサービスを提供する側が用意したサーバーやアプリケーション、データベースなどのシステムを複数のユーザーで使用するため、自社でサーバーを用意する手間も少なく、素早く手軽に利用することができるものです。

導入による効果は機能を使いこなしてこそ得られるものですが、LayerXの調査によると、「UX、機能のわかりづらさ(46.6%)」「既存の業務フローとのアンマッチ(31.8%)」、「手入力の多さ(26.1%)」「提供社によるサポートの不足(26.1%)」が、SaaS導入後の課題となっていることが判明しました。

せっかく導入したにもかかわらずそのツールを活用しきれず、期待していた効果が発揮されないという状況がうかがい知れます。

半数の企業が利用中のSaaSの管理に課題

テレワークの推進と経理・財務部門の業務効率化には欠かせないSaaSですが、インターネットに接続できる環境や端末があれば、場所を選ばずに利用することができるのがメリットです。

しかし、SaaSの導入がコロナ禍で急速に進んだこともあって、使いこなせていない状況があるようです。SaaS一元管理ツールを提供する株式会社メタップスの「SaaSの利用実態調査」によると、「利用中のSaaSを管理できていない企業」は52%にも上ります。

しかも、管理ができていないと答えた企業の6割以上が、各事業部で導入の決裁がされ、情報システム担当者が把握できない様子もうかがえます。その結果、退職者アカウントの削除漏れが32%の企業で発生し、そのうち10%の企業ではそもそも削除漏れの把握ができていないこともわかっています。

こうした調査から、SaaSを使いこなせていない企業の実態が明らかになり、コロナ以降、急速に導入が進んだSaaSの新たな課題も生まれているようです。

まとめ

ただSaaSを導入しただけでは経理・財務部門の業務の大幅な効率化にはつながりません。

SaaSを上手く活用するためには、そのサービスが有する機能を把握することや既存の業務フローの見直しなども検討していく必要がありそうです。