バックオフィス部門のDX(デジタルトランスフォーメーション)化や働き方改革が推進される昨今。テレワークの導入によって、今までの総務部のあり方が問われています。

今回は総務部に注目をして、業務の効率化や組織の拡大・成長のために、どんな変革が必要とされているのかを解説します。

組織の改革を積極的に実行する戦略総務という視点から、現状の課題と解決すべき点を探っていきます。


コロナ渦で総務部の存在意義が問われている

新型コロナウイルス感染症の影響で、日本企業は大きな打撃を受けました。度重なる「緊急事態宣言」で、市場の先行きが不透明な状況から抜け出せずにいる事業者も少なくありません。

この危機を脱するために、企業は事業や組織のあり方を抜本的に見直すタイミングが訪れています。

コロナ渦において、その存在意義を問われているのが総務部です。会社全体に関する事務をつかさどっている総務部は、書類作成・処理、備品・消耗品・機材の発注、株主総会の配布資料、社内報の制作、社内イベントの案内、健康診断の手続き・対応、郵便物の仕分け、施設管理、防災訓練の実施など、その業務は多岐にわたります。

こういった特徴から「何でも屋」と呼ばれることも多くあります。忙しいにもかかわらず、成果が見えづらい部署でもあります。

この総務部の仕事内容が、昨今のテレワーク導入により変化しつつあるといわれます。『月刊総務』の調査では、全国の総務担当者(139名)のうち約9割が、デジタル化が進んだと回答しています。

具体的には「WEB会議で拠点間移動(出張)がなくなったことによる効率化」「脱ハンコ・ペーパーレス化」「郵便代行の増加」「備品補充や、社会貢献・福利厚生関連業務の減少」などが挙げられています。

これらは効率化につながった業務ですが、一方で増えてしまった仕事もあります。

「テレワークを実施するための施策」や「オンライン会議用のスケジュール調整」「コロナ対策関連のルール決定や、緊急事態宣言に伴う勤務時間変更・労務管理」などです。

また、新しい環境に対応すべくデジタル化(44.6%)や人員補充(30.9%)を、総務部が求めていることが明らかになりました。

参照:月間総務オンライン「総務の2020年度の振り返りと2021年度の展望に関する調査」

働き方改革において、デジタル化は重要です。しかし、システム導入を加速させて業務を自動化すれば、総務部の付加価値はどこに重きが置かれるでしょうか。

さらに、人的資源を充実させたとしても、どの業務に投下するのがもっとも資本効率が良いのでしょうか。

存在意義が問われているのは、まさにこれらの点についてです。今までの「何でも屋」ではなく、企業の生産性や業績、従業員のエンゲージメントを上げるために、どのような役割を総務部が果たすべきなのかが問われています。

この糸口となるのが、戦略総務という考え方です。

戦略総務に必要なソフト・ハードの視点

戦略総務とは、受け身ではなく攻めの姿勢で、企業が抱えている課題の解決策を能動的に提案・実行していく組織の姿を指します。

定型的なバックオフィス業務ではなく、企業の体質改善をするための変革を進める姿勢が求められます。

「海外と日本の管理部門の違い(総務部編)」でも説明したように、海外企業の総務部は人的資源の効率的な活用をミッションとしています。

具体的には採用から育成、社員の定着率までを数値化し、最適化するためのPDCAを回しています。このことは、戦略総務が実践すべき課題の大きなものだといえるでしょう。

上記の記事では、ソフト面(人的資源の活用)を取り上げましたが、ハード面からのアプローチ方法もあります。

ファシリティマネジメントと呼ばれるもので、企業・団体などが組織活動のためにファシリティ(土地、建物、構築物、設備)と、その環境を総合的に企画、管理、活用する経営活動のことです。

ここで考えるべきは、テレワーク導入による労働環境の最適化です。

国土交通省の調査では、「テレワークの実施を想定した場合のオフィスの縮小⇒60%の企業が検討又は検討の可能性」があることと明らかになっています。

引用:国道交通省・企業向けアンケート調査結果(速報)

オフィスを縮小した場合、不動産にかかる固定費は下がります。このようなコストを削減できることは、企業にとって大きな機会だと考えられます。

なぜならハード面の固定費は、ソフト面の変動費よりも大幅な費用削減となり、その分を再投資に回すことができるからです。

当然のことながら、投資対効果が高い業務や事業に費やすべきですが、ここで総務部の活躍が期待されます。

総務部が行うべきことは、まず予算をなにに使うことが組織を成長させるのかについての戦略・戦術の策定です。

具体的には「BPO・ビジネス・プロセス・アウトソーシングの活用(専門企業への外部委託)」「ダイバーシティ推進」「デジタライゼーション・ICT化」などが挙げられるでしょう。

具体的な対策は、企業が抱えている課題を抽出した上で、最適なソリューションを選択することが重要です。

まとめ

2022年以降、どのような戦略総務としての役割を組織変革のために果たすのかが、企業発展の分かれ道になるといっても過言ではありません。

総務部が変わらなければ、業績が回復したとしても企業の体質改善は難しいでしょう。人的資源や削減できたコストの再投資を効率的に活用することで、変化・苦境に強い組織体制を構築することができます。

「何でも屋」ではなく経営の要としての戦略総務に注目していきましょう。