AI(人工知能)技術の進化は著しく、労働市場から人間を追い出す、つまり「人間から仕事を奪う」と考えている人もいる。技術の発展が、人間の生活を大きく変えてしまう時点を技術的特異点(シンギュラリティ)と呼び、まさにそれが迫っている状態だ。
しかし最近の研究では、人間がAIによって労働から疎外されるのではなく、むしろAIを業務効率化のためにうまく活用できるという意見もある。
たとえば営業職は、柔軟なコミュニケーションスキルが要求される仕事だ。AIが中心となって営業をするのではなく、チャットボットツールなどに代表されるように、「むしろ営業マンをサポートする役割」を担うのではないかとされている。
医師・看護師や介護士などの仕事も、AI技術による完全な代替は難しい。AIは医師のように新しい医療技術を開発できないし、看護師・介護士のように、患者と綿密なコミュニケーションができるわけでもない。保育士やカウンセラー、コンサルタントといった仕事も同様だ。
アーティストなど、芸術に関わる分野も、人間が活躍できる分野だ。たしかにAIは、絵を描いたり作曲をしたりといったこともできる。SNSでは、AIによって作られる作品がよく話題になる。しかしそれは、興味本位による「新技術への関心」といった傾向が強い。それに、たとえAIが絵を描いていたとしても、その構図やストーリーを考えるのは人間だ。
AI時代においては、人間のコミュニケーションや創造性が、大きな鍵となってくるのではないだろうか。たしかにAIによって代替される業務はあるかもしれないが、人間が活躍する余地はまだ残されているように見える。