日本郵便株式会社は、2023年4月25日、安定したサービスの提供を維持するため「郵便物の特殊取扱料、荷物の付加サービスの料金および国際郵便料金の一部」の改定を発表しました。2023年10月1日(日)から実施されるようです。


昨今は、郵便に限らず幅広い業界で値上げが相次いでいます。今回は、日本郵便の料金改定と、値上げが避けられない理由について詳しく解説します。

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①郵便物の特殊取扱料の改定

郵便物の特殊取扱料は、以下のように改定されます。


・一般書留料および現金書留料:435円→480円(+45円)
・簡易書留料:320円→350円(+30円)
・引受時刻証明料:320円→350円(+30円)
・配達証明料(差出時) :320円→350円(+30円)
・配達証明料(差出後) 440円→480円(+40円)
・内容証明料(謄本が1枚のとき) :440円→480円(+40円)
・内容証明料(追加料金) :260円→290円(+30円)
・内容証明謄本閲覧料:440円→480円(+40円)
・特別送達料:570円→630円(+60円)
・代金引換料:265円→290円(+25円)


いずれも数十円程度の値上がりになります。郵便局を利用する頻度が低いのであれば、それほど問題はありませんが業務などを通じて日常的に活用している場合は、負担がかなり増えるでしょう。


ちなみに簡易書留で利用されていた320円の普通切手は、料金の改定に伴って、350円切手として発行されることになります。320円切手は、2023年9月1日から同年10月31日の間であれば、他の郵便物切手類との交換も可能です。


②ゆうパック・ゆうメールの料金の改定

ゆうパック・ゆうメールの料金の改定は、以下の通りです。


・ゆうパックのセキュリティサービス料金:380円→420円(+40円)
・ゆうパックの代金引換料金(都度代引):265円→290円(+30円)
・ゆうメールの一般書留料金:380円→420円(+40円)
・ゆうメールの簡易書留料金:320円→350円(+30円)
・ゆうメールの代金引換料金:265円→290円(+30円)


なお、ゆうパック・ゆうメールの以下のサービスは廃止となります。


・ゆうパックの本人限定受取料金
・ゆうメールの引受時刻証明料金
・ゆうメールの配達証明料金(差出時)
・ゆうメールの配達証明料金(差出後)
・ゆうメールの本人限定受取料金


③国際郵便料金の改定

国際郵便料金に関しては、以下の項目が改定となります。


・書状の料金
・郵便はがきの料金
・印刷物(低料印刷物を除く)の料金
・小形包装物の料金
・特別郵袋印刷物(低料印刷物を除く)の料金
・航空優先大量郵便物の料金
・航空非優先大量郵便物の料金
・国際eパケットライト郵便物の料金
・国際郵便料金受取人払の郵便物(書状および郵便はがき)の料金
・特殊取扱の料金(特別郵袋印刷物を除く書留料、受取通知料、通常郵便物の保険料)


国際郵便の料金に関しては、宛先(アジア、ヨーロッパ、アフリカなど)によって大きく異なるため、日本郵便の公式ページで確認するのがよいでしょう。なお、書留で航空扱いの包装物(国際eパケット郵便物)のサービスは、2023年9月30日に廃止されることになっています。


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価格改定せざるを得ない原因

日本郵便に限らず、さまざまな業界で、2022年頃から「値上げラッシュ」が続いています。値上げラッシュの主な原因は、「円安」「ロシアのウクライナ侵攻」の二つです。


2023年5月中旬時点の為替レートは、1ドル=137円程度です。2022年10月頃に「1ドル=150円」程度だったことを考えると、ピーク時よりは落ち着いていますが、依然として円安の状態です。


円安になると、自国の通貨価値が相対的に下がってしまうため、原材料を輸入する際により多くの費用がかかります。主に飲食店や小売店などは、円安の影響による「値上げ」が避けられない状態です。日本郵便の場合であれば、荷物を運ぶための燃料費が増加してしまうため、輸送するための価格を上げざるを得ません。


ウクライナ侵攻が値上げにつながるロジックは単純で、「戦争の影響でロシアとウクライナからの輸出が激減してしまうから」です。とくにこの二つの国家は穀物大国としても知られており、穀物や原油の高騰に大きな影響を与えています。ロシアは輸出を制限する経済制裁を受けていることもあり、天然ガスなどの資源の輸出も減っている状態です。


さらに日本郵便の値上げに限っていえば、こうした原材料の高騰だけでなく、「そもそも郵便物の取り扱い自体が減っている」のも大きな原因だと思われます。総務省の「令和4年 情報通信に関する現状報告の概要」によれば、引き受けている郵便物の数は減少傾向にあるようです。社会情勢を含めた近年の状況を打破できるか、注目が集まっています。


まとめ

円安や戦争など、さまざまな原因で原材料価格が高騰し、結果として値上げせざるを得ない状況が続いています。企業も苦渋の決断で値上げをしているのは間違いありませんが、一般的な消費者がストレスを蓄積させているのも事実です。


今後も、社会情勢の影響や産業構造の変化などによって、継続的な価格改定が想定されるでしょう。

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