KPMGジャパンが発表した「監査委員会に関する調査2023*」の分析結果からは、英国や米国との監査に対する意識の違いが読みとれる。ここでは、日本の監査の傾向について、とくに際立ったもの紹介する。

*「Audit Committee Survey 2023(2023年2〜3月実施、オンラインによるアンケート調査)」の結果を元に分析

目次本記事の内容

ESGへの意識が高い日本

日英米3カ国の監査委員会を比較した調査によると、各国ともビジネスとリスク環境の複雑化を、今後最も検討すべき重要な課題に挙げている。それに次いで日本では、ESG(環境・社会・ガバナンス)の報告に関する懸念が突出して高かった。リスク管理の面でも、ESGとサステナビリティに関する意識が、他国と比べて格段に高い。

リスクマネジメントに苦慮する日本

企業のリスクマネジメントとその報告能力について、日本の監査委員会は「対応に苦慮している」という回答が最も多かった。「リスク環境変化のスピードに対応できている」という回答が、英米に比べて大幅に少ない結果となった。自社の危機管理能力に対する不安が明確に表れている。

まとめ

日本企業の監査委員会は、全般にESGに対する責任感が高く、リスクマネジメントに関しては懸念を抱いているようだ。他にも人的資本管理と人材確保について、大きな課題ととらえている傾向が強い。いずれも、日本のビジネス環境を色濃く反映した結果だと言えるだろう。