日本ハウズイングの本社(東京・新宿)

日本ハウズイングは9日、MBO(経営陣による買収)で株式を非公開化すると発表した。米金融大手、ゴールドマン・サックスの傘下企業がTOB(株式公開買い付け)を行う。買付代金は最大約769億円。主力のマンション管理事業をめぐっては建物の老朽化、居住者の高齢化、管理人の高齢化という「3つの老い」問題に直面するなど、経営環境が厳しさを増す中で、中長期の視点で構造改革を進めるには非公開化が必要と判断した。TOBは5月中旬にも始まる。

日本ハウズイング株の買付価格は1株につき1545円で、TOB公表前日の終値1084円に42.53%のプレミアムを加えた。買付予定数は4980万3400株。下限は所有割合44.11%にあたる2836万5900株に設定した。日本ハウズイングはTOBに賛同し、株主に応募を推奨することを決めた。

TOB主体はゴールドマン・サックスが設立したマルシアンホールディングス(東京都港区)。筆頭株主で日本ハウズイングを持ち分法適用関連会社とするリログループは所有する33.44%の株式をすべてTOBに応募する。

日本ハウズイングの創業者で現会長の小佐野文雄氏が代表を務める一族の資産管理会社カテリーナ・ファイナンス(東京都新宿区)が所有する22.56%の株式はTOBに応募しない。当該株式についてはTOB成立後、日本ハウズイングが1株1195円で自己株取得を実施する。

そのうえでカテリーナ・ファイナンスは日本ハウズイングに再出資し、議決権50%(持ち株比率は40%)を保有する予定。

日本ハウズイングは1966年に小佐野氏らが設立し、ビル清掃業務を始めた。現在、マンション管理を主軸に、ビル管理、不動産管理、営繕工事などを国内外で展開する。2000年に株式を店頭登録。2002年に東証2部に上場した(2022年4月に東証スタンダード市場に移行)。