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会社更生手続きを行っている鶏卵大手イセ食品(東京都千代田区)の再生スポンサーが決定しました。三井住友フィナンシャルグループ<8316>の投資会社SMBCキャピタル・パートナーズ(東京都千代田区)と、経営共創基盤(東京都千代田区)です。

再生の中核を担うのが経営共創基盤。事業再生のスペシャリストです。

この記事では以下の情報が得られます。

・経営共創基盤の概要
・投資実績と方針

JALの再生請負人に産業再生機構のメンバーが脇を固めるターンアラウンドのプロ集団

※経営共創基盤「イセ食品グループに関する スポンサー出資及び経営支援のお知らせ」より

イセ食品の事業再生はSMBCキャピタル・パートナーズ事業投資業務の1号案件。この投資ファンドは、三井住友銀行(東京都千代田区)が推進する企業再生ビジネスの中核投資専門子会社として、2020年に設立されました。1号ファンドのSMBCCP投資事業有限責任組合1号が、2021年9月に旅行業のJTB(東京都品川区)の第三者割当増資を引き受けるなど、間接的な事業支援を行ってきました。

経営共創基盤はSMBCキャピタル・パートナーズと共にイセ食品に出資をし、事業再生に挑みます。経営共創基盤はSMBCキャピタル・パートナーズの設立以来、協業パートナーとして取り組み支援を行っていました。イセ食品は、初の共同投資案件となります。

イセ食品の「当社スポンサー企業決定のお知らせ」によると、2023年5月にスポンサーからの出資を受け、現在策定を進めている更生計画に従い、金融債権の弁済を実施。4年前後で会社更生手続きが終結する見込みとしています。

経営共創基盤は、JAL再生タスクフォースで作業統括を務めた冨山和彦氏がCEOを務めています。主要メンバーは、バブル崩壊後の事業再生支援に尽力し、4年間だけ存在した特殊会社産業再生機構の出身者で固められています。経営共創基盤は経営支援のコンサルティング事業を行っていますが、得意とする領域は事業再生です。

イセ食品は、「経営共創基盤を当社ら(イセ食品)に対する支援グループに迎え、事業運営面、経営管理面でのサポートを行う体制を構築しております」とコメントしています。経営共創基盤は事業再生の中核を担います。

IPOとM&Aを前提としない事業再生投資とは?

経営共創基盤の特異性は事業再生に特化していることはもちろんですが、エグジットの考え方にも表れています。IPOやM&Aによる株式の売却を前提にせず、長期的な事業創造を行っているのです。

その一例となっているのが、みちのりホールディングス(東京都千代田区)。みちのりホールディングスは、首都圏を中心にバスやモノレールなどの運行・管理を行っています。グループ傘下に関東自動車(宇都宮市)、湘南モノレール(神奈川県鎌倉市)、会津乗合自動車(福島県会津若松市)などがあります。

■みちのりホールディングスのグループ企業

※みちのりホールディングス「みちのりグループのご紹介」より

みちのりホールディングスは、2009年3月に経営共創基盤が100%出資して設立。2009年4月に福島交通(福島市)がグループ入りしています。福島交通は古くから鉄道やバスの運行を行っていましたが、2002年のバス事業の規制緩和による競争激化で業績が悪化。2009年4月に会社更生法の適用を申請しました。


2009年8月には経営不振に陥った茨城交通(水戸市)がグループ入りするなど、みちのりホールディングスは経営が悪化したバス・鉄道会社を次々と傘下に収めました。

■みちのりホールディングス沿革

※みちのりホールディングス「みちのりグループのご紹介」より

経営共創基盤は、2022年10月にみちのりホールディングスの全株式を日本共創プラットフォーム(東京都千代田区)に譲渡しました。

日本共創プラットフォームは、2022年5月に経営共創基盤が100%出資して設立した子会社。地方創生を主軸とした事業投資、経営支援を行う目的で設立されました。

日本共創プラットフォームは、みちのりホールディングスを成功モデルとし、地域企業のデジタル化を支援。生産性を上げて企業価値を高める取り組みを推進しています。経営共創基盤は、日本共創プラットフォームに対して資金や経営ノウハウ、人材の提供を行い、日本共創プラットフォームが出資する企業に対してハンズオン型の経営支援を行います。

日本共創プラットフォームは2020年12月に金融機関や事業会社合計8社に対して種類株を発行し、資金調達を行っています。

■日本共創プラットフォームの出資者と概要図

※経営共創基盤「地方創生に向けた投資・事業経営会社「日本共創プラットフォーム」を設立」より
※経営共創基盤「地方創生に向けた投資・事業経営会社「日本共創プラットフォーム」を設立」より

日本共創プラットフォームは長期的視点で経営支援を行うことに特徴があり、IPOやM&Aを前提とした出資を行っていません。経営共創基盤は事業再生ファンドの新しいビジネスモデルを構築しようとしています。

地方創生における新たな事業再生支援モデルを確立した経営共創基盤が、イセ食品の経営支援を行うにあたってどのような計画を立てるのか、注目が集まります。

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