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Re・Deブランドでケトルや圧力鍋などの家電を販売するピクセラ<6731>が、全社員の40%に相当する40名の人員削減を実施します。

2023年3月末を退職予定日とし、退職勧奨または整理解雇を行うというもの。従業員の意思を尊重する希望退職者の募集ではなく、会社からの申し出で行われる退職勧奨、整理解雇という厳しい措置をとります。

これにより、1ヶ月当たりの人件費を2,500万円、販売管理費を1,000万円削減できるといいます。ピクセラは5期連続営業損失、9期連続の営業キャッシュフローマイナスの会社。GC注記が付いており、EVO FUND(東京都千代田区)へのMSワラントが経営の命綱となっている状態です。

この記事では以下の情報が得られます。

・ピクセラの業績
・構造改革の内容

会社の成長をけん引したテレビチューナーが斜陽産業に

スタイリッシュで機能性の高いRe・Deの電気圧力鍋やケトルは、SNSの口コミを中心に高い評価を得てヒットしました。ピクセラは2020年5月からRe・Deブランドの家電を展開し、売上構成比率は会社全体の3割を占めるまでになりました。

しかし、主力事業はテレビチューナーであり、視聴者がインターネットのストリーミングサービスへと移行してテレビ市場が縮小する影響を真正面から受けています。2022年9月期にAV関連事業は2億7,400万円の営業損失を出しました。また、Re・Deは比較的堅調なものの、2018年5月に9億円で取得した家電開発のA-Stage(東京都港区)は冷蔵庫やTVで苦戦が強いられ、家電事業全体で3億8,100万円の営業損失を計上しています。

ピクセラはA-Stageを取得した後の2019年9月期に売上高が前期の2倍となる50億7,300万円まで増加しましたが、新型コロナウイルス感染拡大で白物家電を中心に販売が低迷。コロナの影響が薄れた2022年9月期も売上高はまったく回復していません。

※決算短信より

ピクセラは2019年9月末に、現金同等物が前年同月の10億2,800万円から2億1,000万円まで縮小し、事業資金の調達が必須となりました。そこで、2020年3月25日を目処としてEVO FUNDに対して段階的に新株を割り当てる第三者割当増資を決定。普通株式14,370,000株を発行し、11億2,000万円を調達する計画を立てました。

ピクセラは単純な第三者割当増資だと発表していましたが、発行価額は前取引日終値の90%とされており、実質的にはMSワラントと変わりません。また、株主総会の決議が必要となる25.0%を、ギリギリで下回る24.99%もの希薄化も伴うものでした。ピクセラの株式は2019年1月初旬は100円前後で取引されていましたが、12月には50円を下回る水準まで下落しています。


役員の数を減らして役員報酬も大幅にカット

更にピクセラは2023年1月18日にEVO FUNDに対するMSワラントの発行を決めました。総額で9億2,800万円を調達するというものです。

行使価額は1月17日の株価終値8円に対して75.0%ディスカウントの2円と、87.5%ディスカウントの1円という内容。本業の回復の遅れとワラントの発行を重ねたピクセラは株価の低調が続いており、行使価額は最低水準まで落ち込みました。

調達する資金のうち、2億5,500万円を運転資金、2億8,000万円をAV関連事業の構造改革費用に充当するといいます。

ピクセラは2022年11月の取締役会から事業構造改革を視野に入れた議論を本格化。その結果、テレビチューナー関連製品の市場縮小の流れが回復することはないと判断。コア技術であるテレビチューナー周辺技術開発の大幅なコスト削減の実施を決めました。

テレビチューナー周辺技術の製品開発部門には60名程度の従業員がおり、2/3に相当する40名を削減します。

また、大阪オフィスの撤退も決定。これにより、1ヶ月当たり1,000万円の削減が見込めます。

取締役の構成にも手を入れました。2名の代表取締役のうち、創業者である藤岡浩氏が辞任。その他3名の取締役のうち、2名が辞任しました。1ヶ月当たり500万円の削減効果があるといいます。

構造改革前のピクセラは社外取締役、監査役以外の取締役が5名在籍し、2022年9月期の役員報酬は1億1,000万円でした。役員以外の全従業員の給与の3割にも相当する金額です。

※有価証券報告書より

主力事業からの撤退、従業員の削減、創業者の辞任と役員構成の大幅な変更。これまで改革が進まなかったピクセラが大変革を遂げようとしています。創業者・藤岡浩氏がトップに立っていた時期は、業績が低迷しても大ナタが振るわれることはありませんでした。藤岡浩氏が辞任する意味は大きいでしょう。今後は、代表取締役社長・藤岡毅氏の経営手腕が問われます。

※「【新登場】バレンタインに贈りたい。 「Re・De(リデ)」から限定カラー 「MAUVE PINK(モーヴピンク)」が2/1(水)より発売」より

藤岡毅氏はRe・Deのプロデュースにも関わっており、ヒット家電を生み出したという実績を持っています。テレビチューナーは家電の裏方であり、ブランドを構築することや消費者視点に立って製品を開発することは得意ではありませんでした。しかも、Re・Deは買収したA-Stageが持っていたブランドではなく、ピクセラが取得した後に立ち上げたものです。そうした土壌の中でヒット作を生み出した実行力には期待ができます。

構造改革後のピクセラに注目が集まります。

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