農政の憲法といわれる「食料・農業・農村基本法」の改正案をめぐり、5月21日に岩手県盛岡市で参議院の委員会による公聴会が開かれました。
出席者からは「国産の農産物の市場を狭めないでほしい」といった意見が出されました。

「食料・農業・農村基本法」の改正案は、ロシアによるウクライナ侵攻や気候変動などを踏まえて「食料安全保障の確保」を基本理念に加えたもので、「農産物や農業資材の安定的な輸入」や「食料の合理的な価格の形成を図る」などとされています。

21日は盛岡市で参議院農林水産委員会の公聴会が開かれ、農業関係者4人が意見を述べました。

このうちJA全農いわての高橋司本部長は、県内の農業人口が年々減少しているとしたうえで次のように訴えました。

JA全農いわて 高橋司本部長
「価格転嫁を強制的にやるのはなかなか難しいこと。地域としてコミュニティを維持するための対策を、十分に検討した中で法律を作ってもらえれば」

また農業経済学を専門とする岩手大学の横山英信教授は、農産物の輸入についてこう指摘しました。

岩手大学人文社会科学部 横山英信教授
「当然外国産農産物の輸入拡大を求めることになるだろう。国産農産物の市場を狭めることにならないか、きちんと考えるべきだろう」

この改正案は4月に衆議院を通過していて、委員会では出された意見を参考にして審議していくとしています。