政府が少子化対策の財源として創設する「子ども・子育て支援金」への支持が広がっていない。南日本新聞「こちら373(こちミナ)」が、公的医療保険料に上乗せして徴収する支援金制度についてアンケートを実施したところ、約6割が反対の意思を示した。政府が試算した年収別徴収額に対しても、約7割が「評価しない」と答えた。少子化対策関連法案は、19日に衆院を通過する見通しだ。

 アンケートは11〜14日、こちミナ登録者とオセモコ特派員の保護者らにインターネット上で実施。鹿児島県内を中心に、319人から回答があった。無作為抽出で民意を把握する世論調査とは異なる。

 支援金をどう思うか尋ねたところ「反対」が最も多く114人(35.7%)。「どちらかと言えば反対」80人(25.1%)と合わせると60.8%に上った。「どちらかと言えば賛成」は96人(30.1%)、「賛成」29人(9.1%)だった。

 反対の人からは「増税とみなされないよう、保険料に上乗せするやり方には納得がいかない」(鹿児島市の70代以上無職男性)、「安易な制度設計。歳出や基金の見直しが中途半端なままで、不信感が大きい」(姶良市の40代主婦)など、制度への不満が多数を占めた。物価高を背景に「これ以上、生活費を削るのは難しい」(鹿屋市の40代女性看護師)と、負担感を訴える声も多かった。

 賛成の人からは「少子化対策は急務。もっと社会で育てる視点が必要」(鹿児島市の50代女性教員)などと、幅広い負担に理解を示す意見が目立った。
 政府試算によると、会社員ら被用者保険の被保険者1人当たりの徴収額は、2028年度に年収200万円で月350円、600万円は千円、1000万円は1650円。一方、岸田文雄首相は社会保障の歳出削減などで「国民に実質的な負担は生じない」と繰り返す。

 だが、徴収額について、アンケートでは「まったく評価しない」138人と「あまり評価しない」86人で計70.3%に上った。「保険料に上乗せだと、野放図に上げられてしまいそう」(鹿児島市の60代男性会社員)と懸念する声も。岸田首相が当初説明していた「500円弱」を超過する見込みの人もおり、「やり方が卑怯(ひきょう)」「詐欺同然」といった反発も多かった。
 「ある程度評価する」は71人(22.3%)、「評価する」は24人(7.5%)だった。