自宅で同居する父親を刃物で刺し殺害しようとしたとして、殺人未遂の罪に問われた被告の男(55)=鹿児島市田上2丁目=の裁判員裁判論告求刑公判が21日、鹿児島地裁(小泉満理子裁判長)であり、検察側は懲役5年を求刑した。判決は28日。

 検察側は論告で、被告が至近距離から被害者の腹部などを5回刺し、一つの傷は9.5センチの深さまで達していたことから「極めて危険で悪質な行為。酌むべき事情はない」と述べた。

 弁護側は、繰り返し暴言を吐く父親を黙らせようと刃物で脅したにとどまると主張。計画性のない突発的な行動で「殺意は認められない」と執行猶予付きの判決を求めた。

 起訴状によると、被告は2023年7月7日午後10時55分ごろ、殺意を持って父親=当時(77)=の腹部などを食卓用ナイフで複数回刺し、全治約1カ月のけがを負わせたとされる。