ドクターヘリのヘリポートを備える鹿児島市上荒田町の市立病院前で高層マンションの建設が進んでいる。「工事用のクレーンや建物の影響で、ヘリ運航に支障は出ないのだろうか?」。そんな疑問が南日本新聞に寄せられた。

 マンションを建設するJR九州や市立病院によると、マンションは市立病院西側の電車通り(約30メートル)を挟んで建設される、14階建ての「MJRザ・ガーデン上荒田」(220戸、延べ床面積約2万5167平方メートル)。完成は2026年1月上旬を予定する。高さは45.84メートル。病院屋上のヘリポート(約40メートル)を上回り、ヘリが東西2カ所ある進入ルートのうち西ルートを使う場合はマンション上空を通る。JR九州は「航空法の規制範囲内だが、最も低い場合で建物の上空約10メートル付近を飛ぶ」と説明。同病院も「完成後は運航に支障はない」とする。

 ただ、建設中は大型クレーンがヘリの飛行範囲に入る懸念があった。そのため市立病院は昨年、JR九州にクレーンを使用しない工法の検討や、設置する場合もクレーンや建物の高さを見直すなど、ヘリ運航に一切支障がないように申し入れ、JR側も対処を確約したという。

 具体的には、クレーンがヘリの飛行範囲に入らないよう安全装置を設置する。さらに離着陸の際には、ヘリの運航会社から連絡を受け、クレーンの操作を中断する。JR九州は「ドクターヘリの運航に支障が生じない方法で施工し、施工会社の管理においても責任を持つ」としている。

 クレーンは25年11月中旬まで使用する予定。同病院は、国交省大阪航空局に工事案を提出した上で、離着陸場としての許可も得ている。内村賢一事務局次長(56)は「ドクターヘリは県民のために活用している。これまで通り安全に努めて運航するので安心してほしい」と話した。