台風、大雨、地震などの災害に学校はどう対応するか。鹿児島県南さつま市は本年度から、学校との災害情報共有をより緊密にし、登下校時間の判断などで一定の方針を提示している。21日早朝、薩摩地方に線状降水帯が確認された際には、小中・義務教育学校12校で登校を一斉に2時間遅らせるよう伝えた。各校も避難訓練などを通じ学校防災の強化に取り組んでいる。

 同日午前5時半ごろ、薩摩地方に線状降水帯が発生したとの気象庁発表があった。これを受け市災害対策本部は早朝、登校を遅らせる方針を決めた。前日の20日にはすでに大雨で万之瀬川や加世田川の水位が上昇しており、同本部は同日夕に翌朝の登校を1時間遅らせるよう伝えていたが、さらに1時間遅らせた形だ。

 これまで大雨などが予測された場合、登下校時間や臨時休校などは各校長が市教育委員会や周辺校と情報交換し、判断していた。本年度からは教育長らも参加する市災害対策本部などが方針を示す。17日午前に出された線状降水帯発生予測に対しても同日夕には、翌日の登校を2時間遅らせる方針を出し、市全体での対応は計2回となった。

 学校教育課の岩下修一課長は「市と学校がこれまで以上に連携を深め、市民でもある児童生徒の安全を確保したい」としている。

 金峰学園では8日、万之瀬川が氾濫したとの想定で保護者への引き渡し訓練があった。メールを受けた保護者は教室に駆け付けた。昨年4月開校の同校は1年生から9年生(中学3年)まで約400人が在籍。昨年は正門に車の出入りが集中したため、今回は入り口と出口を2カ所ずつ設け一方通行とし動線を固めた。

 内村健二校長は「スムーズに進んだ」と評価しつつ「子が複数いる親は教室を何カ所も回り大変との声もあった。命を守るため何がベストか見定め、最善の避難を構築したい」と語った。

 大笠(だいりゅう)中では5月21日、津波を想定した訓練があり生徒43人が高台の高齢者施設に避難した。3年大坪歩睦さんは「犠牲者を出さない避難が目標」。鷲見壮一教頭は「いざというときの避難場所はここだと、生徒、保護者、学校で共有したい」と話した。