鹿児島県知事選の投開票(7月7日)に向けて最後の日曜日となった30日、3候補は大票田の鹿児島市を中心に奔走した。街頭演説や決起大会で、公約に掲げる子育て支援や反原発、稼ぐ力の向上などの政策を訴え、支持拡大を図った。

 新人米丸麻希子さん(49)は鹿児島市内を選挙カーで回り、ボーナスが出たばかりでにぎわう各地のスーパー前で街頭演説した。家族連れらに子ども医療費窓口負担ゼロや給食無償化の必要性を強調。「県財政は厳しいが、知事次第でかなえられる。子どもファーストの鹿児島にしたい」と訴えた。いちき串木野市、薩摩川内市にも足を運んだ。

 先週の日曜も鹿児島市で活動。陣営関係者は「知名度向上のため、大票田に力を入れたい」と語る。

 新人樋之口里花さん(52)は終日、鹿児島中央駅や山形屋前など鹿児島市内を回った。九州電力川内原発(薩摩川内市)の運転延長に反対の立場から「県民と情報共有し、県民の同意を得て県政を進める」と訴え、聴衆と握手を交わした。

 陣営は、鹿児島市内の人や交通量の多さを重視。「市外から来る人にもアピールでき、一石二鳥だ」と明かす。樋之口さんは「大票田かつ知り合いの多い地元の鹿児島市で、できるだけ票を取りたい」と話した。

 現職塩田康一さん(58)も終日、鹿児島市内を回った。市内のホテルでは総決起大会を開催。県選出の自民党国会議員や前回選挙を草の根で支えた支援者を前に、「人口減少でも地域を維持・発展させるために稼ぐ力を向上させる。4年前と熱い思いは少しも変わらない」と勝利を誓った。

 陣営は残りの選挙期間中も、大票田で無党派層の多い市内を重点的に回る考え。スタッフの一人は「最後まで有権者に候補の考えを届けたい」と意気込んだ。

 対面に加え、インターネット上での選挙運動も浸透してきた。各陣営は有権者がいつでも見られる長所を生かし、候補者の演説の動画や毎日の活動予定を交流サイト(SNS)でこまめに発信する。

 30日も候補と行動を共にし、訴えを撮影するスタッフの姿が各地で見られた。撮影班の一人は「SNSで興味を持って演説を聞きに来る人も多い。手応えを感じている」と話した。