熱海の「ハコスコカフェ」(熱海市伊豆山)で5月15日、「Media Ambition Tokyo 2021(MAT)」のトークイベントが開催された。主催は一般社団法人「Media Ambition Tokyo」。(熱海経済新聞)

 【写真】味のある外観はそのまま残した「ハコスコカフェ」

 今年が9回目となる、最新のテクノロジーアートの祭典「MAT」。熱海のハコスコカフェをサテライト会場として、「Regeneration=再生」をテーマに、医学博士・脳科学者で「ハコスコ」社長の藤井直敬さん、メディア「WIRED」日本版編集長の松島倫明さんが、Media Ambition Tokyo代表理事の谷川じゅんじさんの東京会場とをウェブでつないでトークイベントを開いた。

 伊豆山の「マジオドライビングスクール熱海校」の目の前に位置する同カフェ。現在は工事中で、6月1日の開業を予定している。近くに住む藤井さんは「昔は『菅沼商店』という日用品店だった築40年の建物。その後は20年ほど飲食店が使い、閉店してからは10年ほど放置された空き家だった。いずれも周辺の住民が頻繁に利用していた店だったという。環境も景観も良く、それを生かせればと思った」と経緯を説明する。

 藤井さんが経営する「ハコスコ」は、VR(バーチャル・リアリティー)サービスの開発などを手掛ける。同カフェは「新しい体験の実験空間」にしていきたいという。「VR、AR、XRなどの技術を使い、遠隔地と隣り合った場所のようにつなぐ場所にしたい。現実科学を実験するための場所として考えている。ポストコロナの新しい現実空間を作れるのでは」と藤井さん。廃屋となっていた建物は、シロアリの影響で柱が朽ちていたり、雨漏りがしたりと、傷みが激しかったという。「それでも、外観はそのままの良さを生かしながら、逆に建物の歴史を積み重ねていく再生計画を立てて改装に臨んだ」と説明する。

 同カフェの周辺は昔からの別荘や住居が多く、高齢者が多い地域。「七尾たくあん」に代表される漬物の製造、大根栽培が有名なエリアでもある。谷川さんからは「カフェの支払いは、QR決済を飛び越して顔認証を導入し、支払いはアナログに月末のツケ払いにしても面白い」など実験空間ならではのアイデアも飛び出した。松島さんが携わる「WIRED」では、「FOOD re-generative」という特集を組んだという。「牛肉を食べることが自然を壊すとも言われる時代において、食べることで自然環境を再生して、生態系を循環させる食のあり方が今後、注目されていく」と説明。参加者らの関心を集めた。

 来月の開業以降は、カフェ機能としてドリンクなどの提供に加え、スペースレンタルやアーティストの作品展示の場所としても活用し、最新テクノロジーを使った「コミュニケーション実験空間」としての役割を担っていく。