Bリーグ2部の滋賀レイクスが5月11日・12日、滋賀ダイハツアリーナ(大津市上田上中野町)で開催されたB2プレーオフ準決勝で山形ワイヴァンズに勝利し、B1昇格を決めた。(びわ湖大津経済新聞)

 ブザーが鳴った瞬間、ファンが「B1復帰」のボードを掲げた©B.LEAGUE

 B2の8チームが2戦先勝のトーナメント形式で争い、2チームがB1に昇格するB2プレーオフ。B1ライセンスを持つ滋賀は勝利するとB1昇格が決まる試合となった。

 11日の1戦目、山形に3ポイント(P)シュートを高確率で得点され、リードを許す展開になる。滋賀は「ポイントガード(PG)の選手がリバウンドを取る」という意識を高く持ち続け、PGの選手だけで18本のリバウンドを拾う。特に湧川颯斗選手は全選手の中で最多となる11本。10得点で得点とリバウンドでダブルダブルの活躍を見せた。

 3クオーター(Q)には最大で11点リードされるも、滋賀は全員でディフェンスし、食らい付く。試合時間残り2分27秒、田原隆徳選手が3Pシュートを決め、逆転。ファンの大声援を受け、滋賀が91-86で勝ち切った。

 昨シーズンまで山形に在籍していた田原選手は「山形との対戦は楽しかった。(ジェームズ・)ベル選手と1対1の場面で、ファウルをしないでコンテンツショット(ディフェンスのプレッシャーがある状態で打つシュート)を打たせたあのディフェンスが特に楽しかった」と振り返った。

 12日は試合開始からディフェンスの強度を上げ、相手選手のボールを奪い速攻から得点し、10点リードで後半へ。3Qにファウルが続き6点差まで詰められるが、滋賀は全員でリバウンドを拾い続け、ディフェンスの強度も保ち続け、山形の反撃を抑える。レギュラーシーズンの終盤にけがをしてプレーオフでは調子が上がっていなかった野本大智選手が4Qだけで13得点の大活躍。97-74で快勝し、B1昇格を決めた。

 試合終了のブザーが鳴ると同時に観客席から一斉に「B1復帰」の文字が掲げられた。「B1復帰」の文字を掲げることはファンが発案し、2300枚印刷して有志30人が配布したという。発案者の三重県の会社員「しろ」さんは「西地区優勝を決めた試合で数十人が『西地区優勝』と掲げていたのを動画で見て、B1復帰を決めたらお祝いしたいと思って企画した。当初は200枚ほど印刷する予定だったが、賛同してくれる人が増えて10倍以上になった」と話す。

 掲げられたボードを見た野本選手は「今までバスケをしてきて見たことがない景色だった。この景色は一生忘れないと思う。特別な日になった」と話した。

 B1昇格が決まった瞬間、コートに立っていた5人中4人は昨シーズンから滋賀に在籍し、B2降格を体験したメンバーだった。ダビー・ゴメスヘッドコーチ(HC)は「長く試合に出ていた選手を休ませるという意図だったが、テツ(柏倉哲平選手)に出場したいかと聞いた時、『モリ(森山修斗選手)とプレーをしたい』と言ったので起用した。テツは100%の体ではなかったが、すごく努力をしてチームために戦ってくれた。テツはいい人間性を持っていて、偉大なキャプテン、偉大なプレーヤー。常に良い心を持ってチームのために動いてくれた」と感謝した。森山選手は「苦しい思いをした選手と一緒に昇格する瞬間を味わえたのはバスケットキャリアにおいても大事な瞬間になると思う。やっと昨年の悔しい思いを清算できた」と話した。

 キャプテンの柏倉選手は今シーズンを振り返り、「うまくいくことばかりではなく、何度も試練があった。仲間と共に、我慢強くシーズンを通してやり切れたのがよかった。何よりもブースターの皆さんがずっと会場を満員にして後押ししてくれたことが自分たちの力になった。このチーム、このメンバーで昇格を決められたことがうれしい」と笑顔を見せた。

 決勝の対戦相手が越谷アルファーズに決まり、滋賀がレギュラーシーズンの順位で上回っていることから、決勝戦は滋賀のホーム開催となる。5月18日〜20日に滋賀ダイハツアリーナで開催される。