仰木地区の耕作放棄地について考えるイベント「耕作放棄地で有機農業しませんか?」が6月9日、成安造形大学(大津市仰木の里東4)のコミュニティースペース「結」で開催される。(びわ湖大津経済新聞)

 馬蹄形の棚田 

 午前中は成安造形大学副学長で近江学研究を専門とする加藤賢治さんが仰木地区の歴史や現状について講義する。加藤さんの講義の後は、仰木で有機栽培の野菜でサプリメントを製造し販売している「リスペクト」社長で有機農業認定協会理事の伊藤定紀さんが有機農業について話をする。仰木の米で作ったおにぎりを食べ、午後は加藤さんの案内で仰木地区を歩き、歴史ある町並みや耕作放棄地を見学する。

 仰木は平安時代に比叡山延暦寺の荘園としてできた集落で、棚田での稲作が有名だが、高齢化による人口減少で耕作放棄地も増加している。仰木地区に隣接する新興住宅地の仰木の里に住む桂一朗さんは、仰木地区活性化委員会に加入し、仰木地区の地域課題解決に取り組んでいる。桂さんは「仰木は米や野菜の生産地で、仰木の里には田畑もなく、移住者のみが住む消費地。生産地と消費地のブリッジ役を担いたいと思って活動している」と話す。

 伊藤さんは仰木で有機栽培した野菜を使ってサプリメントを製造している。桂さんは「有機農法は大変なことばかりだが、伊藤さんはビジネスとして成立させている。見栄えが悪く売り物にならない野菜もサプリメントにできる。『出口を作れば持続可能』というのが伊藤さんの考え」と話す。

 イベント事務局を担当するNPO法人「琵琶故知新」理事の藤澤栄一さんは「まずは、仰木の里や堅田など近隣の人たちに仰木の魅力を知ってもらう機会をつくるためにイベントを企画した。学生や、地域課題解決や農業に興味のある人も参加してもらえれば」と呼びかける。

 開催時間は10時〜16時。定員30人。参加無料。