「ヤマサキカズラ」が5月19日、水生植物園みずの森(草津市下物町)のアトリウム内で開花した。(びわ湖大津経済新聞)

 ヤマサキカズラを眺める来園者

 ヤマサキカズラはサトイモ科の熱帯性のツル性植物。同園では、5月3日にアトリウム入り口付近の約4メートルの木の上部に20センチほどの緑色のつぼみを確認した。19日に緑色がクリーム色に変化し、クリーム色で花弁のように見える仏炎苞(ぶつえんほう)に包まれた肉穂花序(にくすいかじょ、多肉質な太い花軸)を確認。開花を発表した。花を守るために葉が進化した仏炎苞に包まれている肉穂花序には柄のない小花が密生している。

 ヤマサキカズラは、水草研究者でヤマサキ水草園(京都市下京区)社長の山崎美津夫(崎はたつさき)さんが1982(昭和57)年に戦没者の遺骨収集と水生植物研究のために訪れたパプアニューギニアのウェワクで発見・命名。2002(平成14)年、約15センチの挿し木を同園に植えた。2018(平成30)年に初めて開花。山崎さんも花を咲かせるのに成功したことはなく、「おそらく日本で初めての開花」と驚いたという。2022年には4年ぶりに開花。以来毎年、開花している。

 クリーム色の仏炎苞を見ることができるのは数日で、すぐに黒く変色する。今年は開花した時点で一部に変色が見られる。同園園長の中井大介さんは「昨年は開花に気づいた時にはもう真っ黒に変色していた。いつまでクリーム色の状態を保ってくれるか分からない」と話す。開花した花の近くにもつぼみがあり、中井さんは「次のつぼみもうまく咲いてくれれば」と期待を寄せる。

 同植物園の開園時間は9時〜17時。月曜休園。入園料は、大人=300円、高校生・大学生=250円、65歳以上150円、中学生以下無料。