高尾山内にある「高尾山さる園・野草園」(八王子市高尾町)で3月、絶滅危惧種の花「ムラサキ」の復活を目指すプロジェクトが始まった。(八王子経済新聞)

 【写真】種からも育てている

 山内のケーブルカーや、エコーリフトを手掛ける高尾登山電鉄(高尾町)が運営する同園。高尾山ケーブルカー・高尾山駅から徒歩3分の場所にあり、約80頭のニホンザルを飼育する「さる園」と、約300種の亜高山帯植物や高山植物などがある「野草園」が併設されている。

 ムラサキは環境省版レッドリストで「近い将来における野生での絶滅の危険性が高い」として、「絶滅危惧IB類」に指定されている植物。乾燥すると根が紫色になることから草木染の染料に使われてきたほか、生薬などとしても用いられてきた。現在、高尾山内で自生するムラサキを見ることは非常に難しいという。

 高尾登山電鉄の設立100周年と、「高尾山さる園・野草園」の開園50周年を記念してプロジェクトを立ち上げた。檜原村でムラサキの復活などを手掛ける「ひのはらムラサキプロジェクト」の協力を得て、3月中旬から種子や苗を育て始めており、苗については鉢植に加え園内の環境が異なる3カ所にも植え栽培を試みている。

 高尾登山電鉄で同園を担当する篠裕之事業部長は「節目の年にふさわしい企画をと考えた時、ケーブルカーが開業した当時の新聞記事で『高尾山でムラサキを見ることができる』とあった。今は絶滅危惧種に指定されるぐらいなので、まずこの近辺では見ることはできない。なんとかそのムラサキを復活できないかと思った」と話す。

 ケーブルカーの開業が1927(昭和2)年であることから、「100年を迎える6年後までに復活できればと考えている。野草園を開業する時点で山野草が減っているという話があり、固有の山野草の保護やいらっしゃったお客さまに身近に山野草を感じてもらうことが目的でこの園ができた。その趣旨にものっとった形でこのムラサキを復活できれば。将来的には野草園の中でたくさん見られるようになればいいし、自然の中に戻すことができれば一番」とも。

 プロジェクト立ち上げから1カ月がたち、特に苗から植えたものについては高さ約30センチまで成長するなど「滑り出しとしては順調に来ている」と篠さん。成長すると60センチ〜80センチほどの高さになるというムラサキ。「風が強いときは難しいだろうし、雨が強く当たるのも好まないと伺っているので、その辺りは考えないといけない。園のアドバイザーからは『お姫様をもらったようなもの。大事に育てないと』と言われている」と話す。

 プロジェクトの進行については、同園のブログやツイッターなどで取り上げていくという。篠さんは「私たちとしても初めての試みなので、どこまでいけるか手探りの中で進めている。ムラサキは知られてはいないが、学校の校歌にも登場するくらい武蔵野には昔からあったよう。今日始めて明日結果が出るようなものではないので、今回ご縁をいただいた檜原村の方にもアドバイスをいただきながら、2027年に向けて頑張っていきたい」と意気込む。

 4月の営業時間は10時〜16時30分。入園料は、大人(中学生以上)=430円、小児=210円。