「うたうファーム」(いすみ市大野)が5月13日、放牧酪農を通し生物・自然・人がつながる牧場づくりに向けた支援を呼びかけるクラウドファンディング(CF)を始めた。(外房経済新聞)

 4月に生まれた子牛と母親の牛を見守る小松さん (写真提供=うたうファーム)

 2021年に耕作放棄地を開拓し、ジャージー牛1頭で始めた同牧場。オーナーの小松豪さんは建築士、妻の裕美(ひろみ)さんは環境デザイナーとして東京で仕事をしていたが、「自然とコミュニティーのある暮らしの場をじっくりつくりたい」「美しい里山や、農村の風景と関わる仕事をしたい」という思いが次第に膨らみ、2020年に家族で同市に移住した。

 牧場づくりに興味のあった豪さんと商品づくりに興味のあった裕美さん。「里山で牛を放牧する小さな牧場をここで始めてみたいと思った」と豪さんは話す。裕美さんは「牛乳で、こだわりのヨーグルトやアイスを作り、生業にできないか考えた」という。

 同市に移住後、豪さんは高秀牧場で約1年研修をし独立。現在は、3頭のジャージー牛と共に牧場開拓を進めている。「知り合いはおらず、牛を飼った経験もなく、土地勘もなかったが、同市には新しい挑戦を応援してくれる人が多く、出し惜しみのないオープンな優しさを感じた。地域のことを知るにつれ、中山間地域の課題を目の当たりにもし、牧場やヨーグルトづくりを通じて、地域の明るい未来のために何かできたらと考えた」と話す。

 裕美さんは「今年4月に初めての子牛が生まれた。ようやく乳を搾って乳製品作りに取り組むことができる。ジャージー牛乳の特性を生かしたこだわりのヨーグルトを作りたい」と意気込む。

 今回の支援金は、乳製品開発のための設備のほか、牧場の環境整備、子どもから大人までさまざまな人が体験できるプログラムの企画・運営費用に充てる。「支援いただいた人と共に、おいしくて楽しい里山を未来へつないでいきたい。牧場を通じて都会と地方がつながるきっかけになれば」とも。

 目標金額300万円。目標金額を達成した場合のみ集まった支援金を受け取ることができるオール・オア・ナッシング方式で行う。6月30日23時まで「READYFOR(レディフォー)」で受け付ける。