国立極地研究所(立川市緑町)で4月15日、南極で昨年発見され日本に持ち帰られた半世紀以上前のコカ・コーラ缶とロッテ「クールミントガム」を、それぞれのメーカーに贈るセレモニーが行われた。(立川経済新聞)

 【写真】贈呈セレモニーの様子

 コーラ缶とガムは、2019年11月に日本を出発した第61次南極地域観測隊越冬隊が昨年9月、越冬隊の4人が観測のため昭和基地から東へ約5キロ離れた「向岩」を訪れた際に発見。今年2月22日に同隊が帰国し、現物を製造販売元の日本コカ・コーラとロッテに贈呈した。
 これらは1965(昭和40)年に第7次南極地域観測隊が現地に持ちこんだ食料の一部である可能性があり、「コカ・コーラ」は、日本で初めて250ミリリットルの缶入りが発売された1965年当時のデザイン、「ロッテ クールミントガム」は南極のペンギンがデザインされた初代パッケージのもので、いずれも未開封だった。

 コーラ缶はさびているもののデザインが見られ、形状は現在のようなプルトップではなく、付属の小さな缶切りのような道具で開けるもの。日本本社にも現物が無い「貴重なもの」だと言う。

 日本コカ・コーラ マーケティング本部の佐々木章乃さんは「コカ・コーラ社の使命は『世界中を潤し、爽やかさを提供すること。前向きな変化をもたらすこと』であり、半世紀以上昔の南極の過酷な状況下で隊員の方たちに爽やかさを届けられたことをうれしく、誇りに思う。発見されたコーラ缶を早く社内に持ち帰って見せたい。将来的には、アメリカ本社のコカ・コーラ博物館『ワールドオブコカ・コーラ』での展示を検討している」と話す。

 ロッテ ブランド戦略部の毛利彰太さんは「クールミントガムは元々南極観測隊の取り組みから着想を得た商品であり、その商品を50年以上の時を超えて南極観測隊の方に見つけていただき手元に戻ってきたことに非常にロマンを感じる」と話す。「ガムには賞味期限がないが、今回発見されたガムを社内の研究所で分析する予定。どのようなデータが出るのか、不安でもあり楽しみでもある」とも。

 1956(昭和31)年には、初代南極観測隊に「船中食用」「基地食用」「行動食用」など、目的に応じて必要な栄養素を配合した特別なガムを提供したロッテ。観測船「宗谷」にも積み込まれたこのガムが、「クールミントガム」のアイデアベースとなり、「お口の中は南極のさわやかさ!」のキャッチフレーズも生まれた。

 会場となった国立極地研究所は1973(昭和48年)、「極地の観測と総合的研究を行う」ことを目的に設立された大学共同利用機関。2009(平成21)年に立川市の新キャンパスに移転し、2010(平成22)年には「国立極地研究所南極・北極科学館」を開設。研究所では、南極大陸と北極圏の基地での観測を基盤に総合研究を進めるほか、大学共同利用機関として、全国の研究者に南極・北極における観測の基盤を提供や、試資料・情報提供などを行っている。

 同隊の越冬隊長、青山雄一さんは「1956(昭和31)年に出発した第1次南極地域観測隊以降、約60年以上にわたり観測を続け、オゾンホールの発見や、氷上掘削で得られた氷の中から過去数十万年にわたる気候変動を解析するなどの成果を上げてきた。今後も、皆さまの支援を頂きながら、引き続き精度の高い観測を継続し、温暖化等の地球規模課題へ貢献していきたい」と話す。