ひと昔前とは違う“金”

金の特徴といえばなんと言ってもその「希少性」です。世の中の金をすべて合わせると、オリンピック公式プール約3.5杯分の金が存在すると言われています。プール3.5杯分となると随分あるなあとも思いますが、地球全体からすると実はたったそれっぽちというわけです。絶対量が少ないから価値がある=「希少性」となるわけです。

そしてもう一つの大きな特徴は、時間が経っても錆びることもなく何も変わらない=「不変性」を持つことです。これらの性質から、古来から金は宝飾品として重宝されてきたことは言うまでもありません。

最近ここ何年かの間に、従来の宝飾品中心とした金の需要の他に金の活用方法の一つとして「資産運用」という概念が入ってきたと考えています。通常、資産運用というと「株式」、「債券」、「定期預金」などを思い浮かべるのが一般的です。ただ近年は株式の価格変動幅(ボラティリティー)がもの凄く大きかったり、債券・定期預金においては超低金利といった問題が数多くあります。

このような環境下で「金」はじめ「不動産」などを運用ポートフォリオに組み入れることが一般的になってきたと筆者は考えています。同じ理由から、かつては先進国の株式・債券中心でしたが、新興国の資産を組み入れることも一般的なこととなってきています。

では金をポートフォリオに組み入れることで期待される効果について考えてみたいと思います。以下の図をご覧ください。

金:(Spot価格、円ベース) 国内債券:NOMURA‐BPI(総合) 国内株式:TOPIX(配当込)
外国債券:FTSE世界国債インデックス(日本除く、ヘッジなし・円ベース)
外国株式:MSCI KOKUSAIインデックス(円ベース、税引前・配当込み)
※過去の運用実績は将来を保証するものではありません
(出所)三菱UFJ信託銀行作成

赤い線である「金」は他の資産とは一味違った値動きになっていることがみて取れます。同じ方向に動く資産のみですと運用資産全体のリスクは極度に高まります。例えば、株式一本のみでの運用ですと株価変動のみに運用資産全体のリスクが集中します。運用資産全体の値動きを和らげるためには、違った値動きをする他の資産を組み入れるのが一般的な手法で「分散投資」と呼ばれています。運用資産全体のリスクを抑えつつ、一定程度以上の運用成績を狙う運用手法です。

「金」は他の資産と違った値動きをする資産として、昨今は運用ポートフォリオに組み入れる投資家も増えていると聞いています。かと言って「金」を3割、4割も組み入れますと運用資産全体のリスクが「金」に一極集中し元も子もありません。適切な「金」の配分割合は、一先ずは10%程度と筆者は考えています。そしてその後の運用の局面で「少し世の中の不安が高まってきたかな?」などと感じた場合は、この割合を少し引き上げるなどの行動に出るのは一考に値するかもしれません。

これからの時代になくてはならないもの?!“プラチナ”

世間では環境に関するテーマが百花繚乱です。「CO2▲▲%削減」、「脱炭素(カーボンゼロ)」、「ESG投資(Environment(環境)、Social(社会)、Governance(企業統治)」、「EV(Electric Vehicle、電気自動車)」、「FCV(Fuel Cell Vehicle、燃料電池自動車)」、そして「水素エネルギー」。これらの用語を見ない日、聞かない日はありません。

旧いところでは「地球温暖化」という用語に至っては、もはや死語のように思えてきます。米国大統領もバイデン大統領に代わってからは、温室効果ガス削減に関する国際的取り決めを話し合った“パリ協定”への復帰が期待されていますし、世界各国はわれ先にと環境問題に取り組んでいるのが現実です。

『プラチナと環境問題?なんの因果関係があるの?』
『プラチナって金よりも高価なジュエリーでしょ?プラチナって、今!金よりも安いの?』

こんな声が聞こえてきそうですが、プラチナと環境問題は大いに関係がありそうなのです。上述した中でも大いに期待されているのは「水素エネルギー」ではないでしょうか?もちろん水素は自然界にも存在します。では、人工的に水素を大量に作り出す!には、どうするのか?

“水素”=水(H2O)の一部。解りやすいのはH2Oから水素(H2)を取り出し貯蔵していく。気が遠くなるような話しですが、化学式は至ってシンプルそのもの。

化学式(1):2H2O→2H2+O2 水素が燃えた(酸素O2と結びつく)後には水しか!残らない。環境には打ってつけ!

化学式(2):2H2+O2→2H2O(化学式(1)の逆)

余談が長くなりましたが、水素を作り出す(化学式(1))際に重要な働きをするのがプラチナなのです。プロトン交換膜電気分解装置で水を電気分解する際になくてはならない“電極部分”にプラチナが使われます。もちろん、電気分解に使う電気は「再生可能エネルギー」が理想であることは言うまでもありません。

こう考えますと足許の環境に対する配慮からすると…、プラチナに対する世界各国からの需要はもの凄いことになりそうです。このほかにも元々プラチナはディーゼル車の排ガス浄化触媒や心臓ペースメーカーの電極などに活用されていますし、今後は上述したFCVのモーターを駆動する発電装置の電極部分やスペースシャトルのような宇宙船の重要部品などへの活用も更に期待されます。こうして観てみますとプラチナは大変“夢”のある貴金属と言えるのではないでしょうか。

金の脇役ではなくなりそうな“銀”

俗な言い方になりますが、銀は「貧者の金」と言われています。金は大変高価だけど銀なら買えるわ!という具合に、ある意味金の代替品として親しまれてきました。言うならば、金の脇役です。そんな銀にもかつてないほど光明が差してきたのが、プラチナ同様に「環境問題」です。

金はある意味「投資のメタル」と言われますが、銀は「産業のメタル」と言われます。もちろん、宝飾品としての需要もありますが、需要の50%が工業用需要であり、その中でも「太陽光発電」における銀は大活躍です。広大な太陽光発電ソーラーパネルを一度は見かけたことがありますよね。黒っぽいパネルが並んでいますが、実はあの下には銀ペーストがたっぷりと塗られています。そして前述しましたように全世界挙げての「環境問題」。今後増々、太陽光発電に向けられる眼差しは熱い!ものになっていくでしょう。

ここで、“投資の側面”からも「銀」について一言。2020年、金に対する投資需要は旺盛であったことはもちろんですが、実はその陰に隠れて金よりも運用パフォーマンス(運用成績)が良かったのは「銀」なのです。

2020年3月16日、この日は世界の株式はじめ安全資産とされてきた金までもが売られるという、言わば“全資産” “売り”の展開でした。もちろん銀も大きく売り込まれました。が…、そこからの立ち直りに注目です。3月16日を底にして、金も銀も株式も全ての資産が大きく値を戻しましたが、中でも銀の価格持ち直しは凄まじいものがありました。3月16日から2020年年末までの運用パフォーマンスを比較しますと、金で高々プラス20%ですが、銀は何と!プラス約90%。

金・プラチナだけではなく「銀」もそれら以上に、今後増々面白そうな貴金属であると筆者は考えております。

まだまだ捨てたものじゃない“パラジウム”

今回ご紹介している4つの貴金属の中では、あまり耳にすることもなく一番馴染みがないと思われるパラジウム。いやいや、そんなことはないのです。4つの貴金属の中では、実は金とこのパラジウムが最も身近な貴金属です。

金:スマホ(スマートフォン)に入っています。ただし、1台あたり約0.03グラムと極微量ですが…。

パラジウム:この貴金属を搭載したものを見ない日はありません。ただし、外出すればの話です。そうです!自動車(ガソリン車)です。プラチナと同様に排ガス浄化触媒として用いられています。

パラジウムもやはり「環境問題」と密接な関係があります。排ガス規制は厳しくなる一方で緩むことはありません。つまり、より浄化のレベルを引き上げる必然性が出てきます。そうなると使用している触媒の量を増やさなければなりません。パラジウムについては、近年、「需要>供給」の構図が継続していますからパラジウムの高値が定着しています。

ではパラジウムにとって逆風はないのでしょうか?もちろん、あります。プラチナのパートで紹介しましたEV、FCVの出現・定着です。電気自動車などは排気ガスを出しませんから…。ただ直ぐさま全ての自動車がEV、FCVなどに置き換わるわけでもありません。EV化、FCV化は予想以上のスピードで進むでしょうが、完全に置き換わるまでにはまだまだ時間を要するのも事実です。

それと、全世界が一気にそうなるわけでもありません。先進国では先行してそうなる日が近いかもしれませんが、技術も資金もかかるわけですから新興国においてはなかなかそうもいかないでしょう。つまりガソリン車に対する需要はまだまだ健在だということです。いずれは全世界がクリーンカーの時代になるのでしょうが、それはまだまだ先の話です。パラジウムに対する需要は未だこの先しばらく続くだろうということです。

それで…、どうする?!

ここまで4つの貴金属について個別にみて参りましたが、どれも個性があってこれからもますます面白そうです。

「投資のメタル」→金、「産業用のメタル」→プラチナ、銀、パラジウムと言えそうです。

これらに投資するには現物を買えばよいわけですが、どこで購入するのか?購入単位は?等の問題山積です。そこで私ども三菱UFJ信託銀行では、もっと手軽に“貴金属に投資する方法”として、2010年に東証上場した貴金属ETF『金の果実シリーズ』をご活用いただけると考えています。これらのETFを保有いただくのも、現物に投資するのとほぼ同様な経済効果が得られるものと考えています。

【『金の果実』シリーズの特徴】

(1)現物の裏付けがある…現物を信託財産として国内で保管しています。一定条件の下、金とプラチナはETFから現物に交換することが可能です。国内に現物が存在することで安心感があります

(2)株式と同様にリアルタイムの価格を見ながら売買できる(売買は証券会社での取り扱いとなります。信託銀行での取り扱いはありません)

(3)少額から始められる…1口からとなっており比較的少額(例 金:6,320円(2021年6月8日東証終値))から投資が可能です

(4)低コストである…保有コスト(信託報酬。保管料や保険料を含みます)は年間0.440%(消費税込) です

ぜひこの機会に運用ポートフォリオの一部に貴金属も加えてみてはいかがでしょうか。今後皆さんのポートフォリオがより一層輝きを増すことを祈念いたしております。

(2021年6月8日記)記載内容は筆者の個人的見解に基づくものであり、三菱UFJ信託銀行の見解ではありません。

(提供元:三菱UFJ信託銀行)