人生100年時代を迎え、老後資金が不安な人も多いだろう。少しでも支出削減を考えるなら「通信費」の見直しが重要だ。令和4年家計消費状況調査によると、2人以上世帯の「スマートフォンなどの通信・通話使用料」の1か月の平均額は60〜64歳で約1万3000円だが、家計再生コンサルタントの横山光昭氏はこう言う。

「通信設備を大手携帯会社から借り受けて割安なサービスを提供する『格安スマホ』に乗り換えれば、月々の支払いを6000〜7000円減らすことが可能です。それが20年分なら約160万円の支出の圧縮になる」(以下、「 」内は横山氏)

 8人家族ながら、「通信費は月額合計1万円」という横山氏が解説する。

「スマホの料金は『毎月必ずかかる固定費』から削減し、続いて『月によって額が変わる変動費』を削りましょう」

 スマホの固定費圧縮はドコモやソフトバンクなど大手から、「Y!mobile、IIJmioといった格安スマホ会社への乗り換え」により、変動費の節約は「料金プランの変更」で行なう。

通話料金はタダにできる

「スマホにおける固定費となる基本料金は、大手と格安スマホの間で大きな差があります。一度切り替えれば、長く大きな節約効果を得られます」

 ドコモのスタンダードな料金プラン「eximo」では、基本料金が税込4565〜7315円。対して格安スマホは“基本料金無料”というものもある。

 変動費にあたる通話料金やメールなどのためのデータ通信料は、必要最小限の料金プランにする。

「メールやSNS利用が主なら通信量は3ギガバイトのプランで十分。“10分電話かけ放題”といった通話プランやオプションも不要です。LINEなど無料通話アプリを使えば通話料金はかからない。まずは月額800円くらいの最安プランへの変更を勧めます」

 格安スマホブランド「NUROモバイル」の月額792円のプラン(通話付き、通信量3ギガ)、「IIJmio」の月額850円のプラン(同、通信量2ギガ)などが候補になるという。

 回線が混雑する時間帯に通信速度が遅くなるといったデメリットも指摘されているが、「実際に使っている人では、気にならないという声がほとんど」だという。

「注意したいのが、契約時に勧められるがまま端末破損の補償などのオプションを付けてしまうこと。2000円程度余計にかかってしまうことになりかねません」

 切り替え時は電話番号をそのまま引き継げるが、「@docomo.ne.jp」などのキャリアメールの継続使用には月額数百円の料金がかかる。Gmailなどのフリーメールを主に使用するかの検討などは必要になるが、支出圧縮効果が大きいだけに試してみる価値はありそうだ。

【プロフィール】
横山光昭(よこやま・みつあき)/家計再生コンサルタント。マイエフピー代表。家計問題の個別相談・指導で高い評価を集める。

※週刊ポスト2024年5月3・10日号