地方移住の罠 水道光熱費も物価も「地方のほうが安い」は大誤解

地方移住の罠 水道光熱費も物価も「地方のほうが安い」は大誤解

「老後は騒がしい都会ではなく、田舎できれいな空気を吸いながら悠々自適に暮らしたい」――都会よりはお金もかかるまいと考えて移住すると、想像以上の生活費で家計の見直しを迫られる事態になるかもしれない。

「お店やスーパーが近くにない地域も多い。病院も近くにないとなれば、通院のたびに車に乗らなければなりません。そうなると車が必要になり、ガソリン代がかかります。車がなければ公共交通機関やタクシーを利用することになり、コストがかさみます」(介護ジャーナリストの小山朝子氏)

 水道光熱費も都会より地方のほうが高いケースは少なくない。例えば都会暮らしで都市ガスを使っている場合に比べ、田舎でプロパンガスを使用している物件だと、1年間で12万円近くも費用がかさむことになる。安めのプロパンガス会社を選んでも、8万円以上の差がつく。

 アパートやマンションの大家によってはプロパンガス会社を変更できないことさえある。

 物価も都市部より郊外や地方のほうが高いこともある。73歳にして関東の山間部に引っ越した男性はいう。

「都内に住んでいた時は、スーパーは安売りするのが当たり前だと思っていた。近所にある複数のスーパーのチラシを比較し、安い店で買うという工夫もできた。

 でも、引っ越してきたら地域に小さなスーパーが1軒だけで、競合する店がないからほとんど値引きしない。大型スーパーまでは遠くて、交通費が高くつく。食料品や日用品の出費が“2割から3割増し”になっている感覚です」

 前出の小山氏が語る。

「都内だと70歳以上は都営バスが無料になります。これをうまく利用すれば、生活に必要な交通費をかなり抑えることができます」

 移動をバス中心にすれば、交通費はかからない。水道光熱費やその他の物価と合わせると、年間約46万円ほど田舎のほうが負担が増える計算になる。

※週刊ポスト2019年5月17・24日号


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