2021年度は「大学入試改革元年」。来年1月には、これまでの「大学入試センター試験」(以下「センター試験」)が廃止され、「大学入学共通テスト」(以下「共通テスト」)が開始される見込みだ。

 しかし、共通テストの導入以前から、受験生は心労を抱えていた。大学入試制度に詳しい「大学通信」の安田賢治さんが語る。

「昨年末、センター試験英語の代わりに、英検やTOEFLなど英語の民間試験の活用や記述式問題の導入の検討が発表されましたが、結局延期となりました」

 ただでさえ神経質になりがちな受験生は、この二転三転に振り回されているわけだが、大学入試制度は、どれほど大きな変化を遂げたのか。

 まず、センター試験から共通テストに移行すると、何が変わるのか。出題範囲とマークシートでの解答形式に変化はない。ただし、共通テストでは基礎知識に加え、それらを社会や日常生活で活用、応用する力が問われる。

 つまり「思考力」そのものが問われるようになるのだ。過去問を繰り返し解いて出題パターンを身につけても通用しなくなる。新聞やニュース番組に日常的に目を通しておかないと解けないものも少なくない。

 さらに、最も大きく変わるのは英語だという。東進ハイスクール広報部長の市村秀二さんが話す。

「共通テストの難関は英語のリスニング。センター試験ではリスニングの配点が全体の20%でしたが、共通テストでは50%にもなる。

 しかも、これまではすべての問題が2回読み上げられていたところが1回だけになるものもあり、“聞き逃したら終わり”。出題範囲やマークシート形式など変わらない部分も多くありますが、リスニング力を上げるには長い期間をかけて耳を慣らす必要があるため、相応の準備は必要です」

 大人の都合で振り回される受験生の負担は計り知れない。大学ジャーナリストの石渡嶺司さんが言う。

「大学入試では、ひとたび要項が公表されたら変更されない、というのが大原則。ところが、今年は一度ならず、二度三度と入試要項の変更があり、受験生だけでなく保護者や高校の先生がたも振り回されました。共通テストの英語民間試験と国語・数学の記述式問題の導入見送りだけでなく、『AO入試』も『総合型選抜』と改められ、選考方法も直前になって変更されました」

 また、信州大学や千葉大学などの国立大学の一部の学部や、神田外語大学や駒澤大学といった私立大学の全学部入試においては、面接をオンライン化する動きもあり、受験生はオンライン環境まで整える必要が出ている。

※女性セブン2020年12月3日号