父が亡くなった後、母が亡くなった後には、「おひとり」になった親に関する様々な問題が生じてくる。特に難しいのは介護の問題だが、それは「実の親」との間だけではない。むしろ、「義父母」のほうが、一筋縄ではいかないこともある。もし、妻の親が「おひとり」になったら、夫はどのように関わればいいのか。その距離感を見誤れば、たちまち悲劇が訪れる──。

「妻の親の面倒を見ている夫は増えています。一人っ子だったり、きょうだいが少ない人が増え、長男・長女同士の結婚が増えたことが背景にあります」――シニア生活文化研究所・代表理事の小谷みどり氏はそう言う。

「おひとり」になった実父・実母との関わりの難しさはここまで見た通りだが、相手が「義父母」でひとり身となると、さらに複雑な問題が生じることがある。

 今年1月、82歳の義母を見送った神奈川県在住の男性(55)が、自身の身に降りかかったトラブルを打ち明ける。

「5年前に妻の父が亡くなり、ひとり残された義母の面倒を同じ県内に住む私たち夫婦が見ていました。義母は持ち家の戸建てを処分して有料老人ホームへの入居を希望。そこで義父の車や自宅の売却手続き、ホーム探しをする妻を私がフォローしたのです」

 しかし、それが間違いのもとだったのかもしれない。

「疎遠だった義母の兄弟から『財産を乗っ取ろうとしている』と陰口を叩かれるようになったんです。親切のつもりで手伝ったのに、なんでそんなことを言われなくてはいけないのか。

 しかも、ホームへの入居が決まった後、義母が飼っていた中型犬を我が家で引き取ったのですが、大学生のひとり娘は動物が苦手で、猛反発を食らってしまい……」

 その後、義母は末期がんの診断を受け入院。今年の1月に息を引き取った。

「葬儀では義母の兄弟から『私たちの了承を得ないで何もかも勝手に売られた。環境が変わらなければ静かな余生を送れたはずだ』と責められました。顔と名前が一致しないような親戚ですが、この5年のさまざまな我慢が頭をよぎり、怒りを抑えるのに必死でした」(同前)

 ファイナンシャルプランナーの井戸美枝氏はこう指摘する。

「財産の管理や処分に娘婿が関与すると、思わぬトラブルに繋がります。娘である妻は夫に頼りがちですが、婿は周りの親族から『娘婿が入れ知恵した』などと悪者にされるケースが少なくない。

 また、施設に入居する際に義親の『身元引受人』になると、支払いが滞った場合は責任を負わされる上、施設に居られなくなる状況になれば義親を引き取らなくてはならないことも。義理の親の問題に口出し・手出しをする際は慎重な判断が必要です」

※週刊ポスト2021年4月30日号