鶏笑、から好し、から揚げの天才、神のからあげ――。いま唐揚げ専門店が増えている。富士経済の調査によると、市場規模は2019年の853億円と比べて大きく伸びており、2020年は前年比123.1%となる1050億円を見込んでいる。チェーン店の新規出店に加え、イートイン主体の店舗も出店を加速させており、市場はまだまだ拡大していきそうだ。コロナ禍の今、なぜ唐揚げが注目されているのだろうか。消費者の声からその魅力を探った。

「タピオカ店の跡地に唐揚げ店ができているのをよく見かけますが、ついに唐揚げ店の閉店跡地にまた違う唐揚げ店がオープンしていて驚きました。唐揚げバブルが来ているのでしょうか?」

 そう語るのは、IT企業に勤める20代の女性会社員・Aさんだ。Aさんは大の唐揚げ好きで、ランチタイムの外食時や弁当を購入する際、メニューに迷ったら「とりあえず唐揚げ」。飲み会でも、唐揚げを頼んでハイボールと一緒に飲むのが鉄板だったが、コロナで生活環境も変わった。

「在宅勤務になったことで、ランチでも飲み会でも唐揚げに接する機会が激減。自炊で揚げ物は作りませんし、寂しくなって、コンビニでホットスナックの唐揚げを買っていました」(Aさん)

 唐揚げ専門店が乱立する中、Aさん自身もオープンしたお店や、気になったお店には1度は訪れて、テイクアウトして食べているという。

「個人的には、近所のお弁当屋さんやお肉屋さんが昔から提供している唐揚げの方が好きですが、祭りの屋台的な感覚で、ふらっと立ち寄って買ってしまいます」(Aさん)

 40代の主婦・Bさんは、近所に唐揚げ専門店ができたことで、テイクアウトで活用する機会が増えたという。

「これまで唐揚げをテイクアウトするという発想はなかったのですが、一度、晩ご飯が遅くなりそうな時に買って帰ったら、子どもたちが喜んで食べてくれました。今まで家で作っていたものよりおいしいって(笑い)。それ以来、休日のお昼ご飯でもテイクアウトを活用するようになったのですが、車で来てたくさん買い込んでいる人もよく見かけます。安いしラクだし、どこの家も重宝しているんですね」(Bさん)

アジア各国の唐揚げに魅了

 都内の大学に通う20代の女子大学生・Cさんは、日本の唐揚げだけでなく、アジアの唐揚げに夢中だ。台湾のザージーパイ、韓国のヤンニョムチキン、タイのガイトートなどをテイクアウトするのが楽しみだという。

「唐揚げは食事と言うよりおやつ感覚。テイクアウトして家で食べてもいいし、その場で食べられるのもいいですね。外食せずとも、ちょっとしたアジア気分を楽しみたいという気持ちもあります。最近は大きいことで知られる台湾のザージーパイにハマっています。友人と行ったら、必ず顔の大きさと比較した写真を撮ります。インスタでも“映え”ますしね」(Cさん)

 20代の男性美容師・Dさんは、通勤途中にある話題の唐揚げ店に、後輩の女性美容師たちと行ってきたばかりだ。

「女性だらけという噂で、ちょっとひよりかけましたが、興味本位で付いていきました。サクサクで、後からかけられるスパイスもあって、美味しかったです。『商店街でコロッケを買う感じ?』と言ったら、ブーイングを受けましたが(笑)。

 ちなみに一緒に行った後輩たちは、『唐揚げを食べたら次は甘いものが食べたい』と言って、ソフトクリームを食べていました。唐揚げの後のスイーツは格別なんだそうです。美味しいし、さらにアジア系の食べ物って、女性が好きなイメージがあるので、人気の理由もわかります。見た目のインパクトもあって、思わず写真を撮りたくなるというのも魅力なんだと思いました」(Dさん)

 安い、手軽、美味しいという3拍子で、老若男女を問わず、安定した人気を誇る唐揚げ。コロナ禍のテイクアウト需要で注目されているだけでなく、意外な“映え”要素も人気の要因となっているのかもしれない。