小池百合子都知事が、路上飲みとともに自粛を要請したバーベキュー(BBQ)。屋外でも感染リスクがあるとして呼び掛けたものの、このゴールデンウィークの期間、各地の河川敷やキャンプ場などは盛況だったという。

 友人家族同士でBBQを開催したある女性は、「旅行には行けないし、屋外なら密になりにくないのでいいかなと思って。これまでものすごくBBQが好きだったわけではないのですが、やっぱり生活のなかに“イベント”がほしいんです。その意味で、BBQはちょうどいいかと思って」と、その理由を話す。

 そんな中、「そもそもBBQの何が楽しいのかわからない」という人たちもいる。IT企業に勤める20代男性会社員・Aさんは、学生時代から周囲がBBQを開催したがることについて疑問を持っており、「メリットは一つもない」とボヤく。

「まず、なぜわざわざ暑くて虫もいる屋外で食べる必要があるのか。食材やセットの用意も面倒で、くつろぐこともできません。せっかく参加費を払うなら、涼しくておいしい焼き肉屋で食べる方が断然良いと思うのですが」(Aさん)

 BBQを苦手だと思う人は、他にもまだまだいる。メーカーに勤める30代の男性会社員・Bさんは、同僚からの誘いを「用事があるから」と断っても、「その用事は何時から?」「時間をずらせないのか」など、しつこく聞かれることにうんざりしている。「おそらく誘う側は、断る理由がわからないのかもしれない」と推察する。

「BBQが嫌いだと言えば角が立つので、用事があるということにしたいのですが、基本的に行かない選択肢がない。誘ってくる人は、『BBQを嫌いだという人はいないハズ』と思い込んでいるんですよね」(Bさん)

「準備も片付けも全部やってくれるならいいけど」

 BBQを飲み会と比較すると、「そのタチの悪さが際立つ」と言うBさん。曰く、飲み会なら断れるのにBBQだと断りづらい、役割分担を強いられ手持ち無沙汰になると仕事を言いつけられる、焦げた肉が配布されるなど好きなものを自由に食べられない……等々、次々と不満が出てくる。だが、「最も面倒」だと感じることは別にあるという。

「なんといっても『知らない人の参加』です。百歩譲って、同僚や上司の妻や子どもが来るのは許せますけど、同僚の大学時代の友人、上司が懇意にしている取引先の人なんかに来られても、気が休まりません。BBQというと、突然“異業種交流会”っぽくなるのは勘弁してほしいです。もはや“BBQハラスメント”です」(Bさん)

 40代の女性会社員・Cさんは、夏になると夫の両親の家で行われる恒例のBBQ大会が嫌でたまらない。男性は肉を焼く役に回ってくれるが、結局は女性の負担が大きいことから、コロナ禍での中止に喜んでいる。

「男性陣は、肉の調達や焼く係はやってくれるけど、それ以上のことはやってくれない。野菜のカットや後片付けは私の負担になって、こっちの方が面倒なことをわかってほしい。義母は手を動かさず、『飲み物が切れた』とか、『そろそろ焼きそばを作ってあげて』など、私にあれこれ要求してきます。その間、男性たちはくつろいでいるのに、私は食べた気も休んだ気もしない。準備も片付けも全部やってくれるBBQなら、参加してもいいですけどね。去年から、コロナを理由に中止になったので、平穏な夏を過ごせてホッとしています」(Cさん)

 アウトドアのイベントとして楽しみにしている人も多いBBQだが、必ずしも誰もが好きとは限らない。コロナ禍で中止になる機会も多いだけに、苦手な人もやっと本音が出せるようになっているのかもしれない。