「もっと金利の高い保険に変えましょう」、「退職金を運用しませんか?」──ある日、保険の営業員や銀行員が家にやって来て、こんなセールストークを仕掛けられた時、すぐ飛びつかないようにしてほしい。金融機関があの手この手で高齢者のお金を狙い、加入者に不利な契約をさせるケースも少なくない。埼玉県の会社員・迫田香織さん(56才・仮名)も、夫の退職金を狙われた。

「2000万円の退職金の運用について銀行に相談したら、“外貨建て保険なら保険金が増えますよ”と言われたのですが、本当でしょうか」

 外貨建て保険や、運用次第で受け取る保険金が変わるという変額保険は、保険料が「保険部分」と「運用部分」に分かれている。銀行側が掲げている、一見高そうな利率は運用部分だけで、払った保険料の全額が運用されるわけではない。生命保険会社での勤務経験を持つファイナンシャルプランナーの横川由理さんが語る。

「外貨建て保険は、保険の手数料と外貨の両替手数料をダブルで取られるだけ。解約時にも最高10%の解約控除が差し引かれます。まして、保険金を日本円で受け取るときに円高が進んでいたら、金額も目減りする。外貨で運用したいなら、保険以外の方法を」

保険会社が解約をすすめてきたら…

 そもそも、毎月の保険料の内訳は、加入者に支払う保険金の元となる「純保険料」と、保険会社を運営するために使われる「付加保険料」に分かれている。保険会社のCMも、加入者の付加保険料で成り立っているものだ。保険に詳しいファイナンシャルプランナーの長尾義弘さんも指摘する。

「純保険料は、どの保険会社にも大きな違いはありません。一方、付加保険料は会社によって異なります。営業員が多いと人件費もかかるし、CMが多ければ広告費もかかります。ネット系の保険会社は人件費が少なく済み、保険料も相対的に安くなるので、比較的コスパがいいといえるでしょう」

 最も危険なのは、営業員や外交員に言われるまま、契約したり、解約したりすること。

「“保険のメンテナンスをしましょう”というフレーズにも要注意。予定利率が高く、加入者にとっての“お宝保険”は、保険会社にとっての“お荷物保険”だからです。2001年3月末まで、予定利率が2%以上のものがありました。知らずに解約して新しい保険に入り直すと、予定利率はグッと下がり、損します。保険会社が解約をすすめてきたときは、従うと99%損すると思っていい」(長尾さん・以下同)

 日本は医療保険制度が手厚いため、基本的に医療保険には加入せずともなんとかなるケースがほとんど。「自分がこの世を去ったときに、誰がどれくらい困るのか」を考えて、必要なものだけを選ぶべきだ。

「それでも不安なら、もしものときに保険料を払わなくて済む保険料払込免除特約や先進医療特約、余命6か月以内と診断されると保険金が生前に受け取れる、保険料が無料のリビングニーズ特約などで強化を」

 そもそもが営利目的の保険よりも、「共済」の方が安心だといえる。

「なかには、保険よりも掛け金が安いものや、余った掛け金を返してもらえるもの、入院や死亡に備えられるものも。最低限の備えとしてはコスパがいい」(横川さん)

 コロナ不安に乗じて、保険会社の名前を目にする機会が増えている。“ビジネスチャンス”にダマされないよう、慎重な見直しを。

※女性セブン2021年7月29日・8月5日号