新型コロナ対策の柱の一つである、テレワークの推進。東京都の調査によると、従業員30人以上の都内企業における2021年8月のテレワーク実施率は65.0%と、過去最高だった。半日・時間単位でのテレワークの実施など、多くの企業がさまざまな工夫をしながら在宅勤務の定着を図っているようだ。そんななか、夫の「週5日在宅勤務」をママ友に愚痴ったことがきっかけで、思わぬ“事実”を知る羽目になったという30代主婦がいる。フリーライターの吉田みく氏が話を聞いた。

 * * *
 都内在住の専業主婦、鈴木ゆりさん(仮名・32歳)は、夫の在宅勤務についてママ友に愚痴をこぼしたら、思わぬ方向に問題が発展したことを話してくれた。現在は夫と2歳の息子の3人暮らしである。

「固定費を抑えたくて、家賃が抑えられる都営住宅に住んでいます。今まで通勤していた夫は、週5で在宅勤務になってしまいました。2部屋しかないので、パソコンを広げてスペースを占領されると本当に窮屈。ストレスが限界に近づいた時、誰かに話を聞いてもらいたくて、地域の子育て支援センターのママ友たちに愚痴をこぼしたんです」(鈴木さん、以下同)

 ママ友たちは鈴木さんが置かれている状況を聞いて、「かわいそうだね」「大変だね」と、共感してくれたという。最初のうちは親身になってくれたママ友たちに感謝の気持ちでいっぱいだったが、徐々におかしな方向へ話は変わっていった。

「『私の夫も週5で在宅勤務だけど、イライラする場面は少ないなぁ。何が違うんだろう?』と、ママ友の中でも目立つ存在のセレブママ(以下、Aさん)が言い出しました。違いははっきりしています、住まいの大きさです。Aさん宅は、大手ハウスメーカーが手掛けた注文住宅。住宅事情に詳しくない私が見ても、お金がかかっていることはすぐに分かりました。環境が全く違うので、正直嫌味にしか聞こえませんでした」

 その流れから、Aさんは鈴木さんに対して、「夫専用の書斎があれば無駄な夫婦喧嘩は起きづらい」、「コロナ禍だからこそ、こだわりの住宅を手に入れるべきだ」と、力説してきたそうだ。最初は余計なお世話だと感じていたAさんのマイホーム自慢も、徐々に魅力的に感じ始めてきた鈴木さんは、その日の夜、夫にマイホーム購入の打診をしてみたという。そこで衝撃の事実を知ることとなってしまった。

「夫にマイホームの魅力を話したところ、『ウチにはまだ早いよ……』と、濁されました。夫は10歳年上の42歳。年齢的にも決断するなら早いほうが良いはずなのに、乗り気ではなかったんです。話をしていると何かを隠していることに気づき問い詰めたら、消費者金融から借り入れをしていることが発覚しました」

 鈴木さんの夫の話のよると、在宅勤務になったことで残業代がつかなくなり、月3万円ほどの収入ダウンになったそうだ。そのため、お小遣いがなくなってしまい、消費者金融に手を出してしまったという。そのことを初めて知った鈴木さんはショックを抑えきれず、号泣したそうだ。

「コロナのせいで、人生が狂ったと言っても過言ではありません。在宅勤務がなければ自宅が手狭であることも気にならなかった、残業代がなくなることはなかった……。その反面、Aさんのように贅沢な暮らしをしている人もいるなんて……、わかってはいるつもりでしたが、はっきりとした格差を見せつけられたようで、惨めな気持ちでいっぱいです」

 マイホーム購入の話は一旦保留にし、今は消費者金融への返済計画を考えることに専念していると話す鈴木さん。場合によっては、パートで働くことも検討しているそうだ。

 新型コロナウイルス感染拡大をきっかけに、私たちの生活は一変した。鈴木さんのケースのように、収入減や在宅勤務の環境で悩んでいる人は少なくないかもしれない。