「普通自動車免許」は多くの日本人にとって必要最低限の資格であるにもかかわらず、自動車教習所に通って免許を取得する場合の費用が30万円前後と、決して安くはない。そこで今回は、免許取得の費用を大幅に抑える方法がないか、解説しよう。

■95%は指定自動車教習所に通って取得

まず、自動車運転免許は「道路交通法」の第84条第1項により、運転する人は公安委員会の免許を受けなければならないと定められている。同じく道路交通法の第95条により、運転者は運転免許証を携帯する必要がある。

免許証を取得するには、最終的に各都道府県にある免許センターで免許取得試験を受け、合格する必要がある。

その手前で、免許取得試験に至る過程が大きく分けて2通りある。1つは自動車教習所に通い、学科教習や技能教習を受け、卒業してから免許センターで受験するパターン。チューリッヒ保険会社の公式サイトによると、新規で免許を取得する人の95%が公安委員会から指定された自動車教習所を利用している。

公安委員会から認められた教習所を卒業していると、免許センターでの実技試験が免除され、学科試験のみに簡略化される。

自動車教習所の料金はマニュアル車も運転できる免許だと、30万円前後が相場となる。ただ、最近は競合施設と差別化するために豪華な設備を整える教習所もあり、立地するエリアや施設によっては、相場以上に料金がかかる場合もある。

■「教習所なし」で独学での取得も実は可能

もう1つ、免許を取得するための費用を大幅に減らすには「一発試験」などと呼ばれ、教習所を経由せずに免許センターで試験を受ける方法がある。これは、大多数の人が自動車教習所で受ける学科教習や技能教習を、一転して独学で済ませる方法だ。

前述のチューリッヒ保険会社の公式サイトによると、一発試験では免許取得に必要な技能や学科を自動車教習所以外で習得する。その上で、運転免許試験では仮免許取得のための技能試験と学科試験、本免許取得のための技能試験と学科試験を受ける。

運転免許試験場や運転免許センターでの技能試験では、警察官が試験官を務めて厳しく審査される。そして、本免許試験の合格後は取得時講習か特定教習を受けて初めて免許が交付される流れとなる。

具体的には、学科教習は市販のテキストを使い、交通法規や標識などの知識を得る。難しいのは実技のほうで、免許を持っていない以上、公道を走るわけにはいかない。車を運転し、さまざまな操作を学ぶだけのスペースを持つ私有地が練習場所として必要になる。

仮免許試験では、実際に運転免許センターで車を運転し、安全に運転できる技能を持っているかどうかを審査してもらう。

■1人では路上練習できない

仮免許が交付されたら、次は一般の公道で運転の練習を開始する。実施した練習内容は「路上練習申告書」に記載しなければならない。路上練習申告書は、都道府県によって仕様が異なるため、それぞれの在住地域の決まりを事前に確認しておくとよい。

路上での練習は、単独(1人)ではできない。運転免許証を取得してから3年以上を経た人、もしくは2種免許を取得している人に助手席に座ってもらう必要がある。1日2時間の教習を5日間以上行わなければならない。

一発試験を受けるには、適切な指導をしてくれる人や環境が必要になる。何らかの理由で免許が失効してしまった人ならともかく、初めて運転免許を取得するような場合には、あまりおすすめできないのは確かだ。

路上練習申告書が完成したら、いよいよ本免許試験に移る。舞台は仮免許取得時と同じ。各都道府県の運転免許センターで、学科と実技の本免許試験を受ける。

■免許再取得のケースでおすすめ

こうして見てくると、一発試験を受け、そして合格するまでのハードルは、決して低くないことが分かる。それでも検討に値するのは、時間と費用の面でメリットが大きいからである。

「合宿」ではなく、通学するタイプの自動車教習所では学科教習に時間がかかる。卒業までに2〜3ヵ月ほどかかるケースがほとんどだ。一方で一発試験ならば、最短では(非現実的ではあるが)上記のように1日2時間の教習を5日間行えばよい。

一発試験への合格を目指す場合、仮免許試験の受験に5,500円、取得時講習に1万5,400円、本免許試験の受験費用は5,400円がかかり、全体でかかる費用は合計2万6,300円となる。仮に教習所を活用して30万円かかる場合と比べると、90%以上安く済むといえる

一発試験は初めて車に触れる人にとっては超えるべきハードルが多いものの、一度は免許を取得した経験のある人からすれば、費用を抑えて免許を再取得できる有力な選択肢といえそうだ。

多くの人は「免許を取得する=教習所に通う」とほぼイコールに考えがちだが、実際はこうした方法もあることは覚えておきたい。

文・岡本一道(政治経済系ジャーナリスト)
国内・海外の有名メディアでのジャーナリスト経験を経て、現在は国内外の政治・経済・社会などさまざまなジャンルで多数の解説記事やコラムを執筆。金融専門メディアへの寄稿やニュースメディアのコンサルティングも手掛ける。