次々登場する「○○ハラスメント」という言葉。これは、これまでは「ハラスメント(嫌がらせ)」とされていなかったことに対し、実は声を上げられなかった人が大勢いたということだ。ここでは、その一つ「パーソナルハラスメント」を解説する。

■個人的な特徴・属性を指摘するハラスメント

「パーソナルハラスメント(パーハラ)」とは、個人の容姿などの身体的特徴、話し方やしぐさのクセ、性格、個人の属性といった個人的(パーソナル)な要素を指摘し、相手を否定したりからかったりする行為を主に指している。

特にしてしまいがちなのが、「やせたね」「太ったね」といった体型変化への指摘であり、こうした言葉かけは欧米ではほぼタブーとなっている。基本的に、業務に関係のない個人的な特徴の指摘は全てパーソナルハラスメントにあたるといっていいだろう。

パーソナルハラスメントは職場だけでなく、学校や友人関係、家庭などあらゆるシーンで起きうる。否定する意図のない親密さゆえの気楽なからかいと発言者本人が思っていても、相手にとってはハラスメントになっていることもあるので、そこは安易に考えないようにしたい。

■ほかのハラスメントとの合わせ技となる3パターン

パーソナルハラスメントはその性質上、ほかのハラスメントと同時に生じやすい。例えば、上司による過剰な叱責はパワーハラスメントにあたるが、そのときに「だらしない体だから仕事もだらしなくなるんだ」など、個人の特徴をあげつらうケースがある。

言葉によるセクシャルハラスメントの多くもパーソナルハラスメントを兼ねてしまう。女性に対して「頭じゃなくて胸にばかり栄養が行っている」、男性に対して「その年で女性経験がないのは恥ずかしい」といった発言がそれにあたる。

言動で相手の心を傷つけるモラルハラスメントも、多くはパーソナルハラスメントとなっている。例えば、「メガネくん」「地味子ちゃん」「関西出身なのに笑いのセンスがない」というように、個人の特徴や属性を指摘して相手を傷つけるケースなどがある。

ただ、逆にいえば、パーソナルハラスメントをしないように気をつけていれば、ほかのハラスメントも防ぎやすいことがある。個人の特徴・属性について不要な指摘をしないことを心掛けていれば、ほとんどのハラスメント行為は未然に防げるはずだ。

■女性の容姿をほめるのもパーソナルハラスメント

パーソナルハラスメントとは、分かりにくいものもある。例えば、女性の容姿を称賛することは、セクシャルハラスメントであり、パーソナルハラスメントでもある。しかし、一部の男性は「ほめているのになぜハラスメント?」と困惑ぎみだ。

容姿が直接関係しない仕事においてそれをいうのは、その女性の仕事への評価よりも見た目の評価を優先しているメッセージにも聞こえる。女性の見た目にランクを付けていることになり、ほめられない女性は嫌な気分になる。仕事ができずほめられないのは仕方ないが、容姿でランク下位に置かれるのは不本意だろう。

女性の容姿を称賛することは、男女の性のあり方などさまざまな論点もある。ただ、ハラスメントを避ける点だけでいうなら、「個人の特徴・属性について不要な指摘をしない」というパーソナルハラスメントを避ける上での大原則を守っておけばよい。

■パーソナルハラスメントの被害者になったら?

もし自分がパーソナルハラスメントにあっていると感じたなら、愛想笑いなどで流すのではなく、そういうことはいわれたくないと意思表示したほうがいい。理解の早い人ならそれだけでもそうした言動がやむことがある。

だが、上司や取引先、かなり目上の相手などでそれが難しいこともあるだろう。その場合は、周囲の信頼できる人に相談すべきだ。職場であれば、さらに上の役職の上司やハラスメントを相談できる部署などがそれにあたる。

法的処置として、刑法では名誉毀損罪や侮辱罪を、民法では不法行為を問える。しかし、仕事環境や人間関係を大きく変えてしまう可能性もあるので、そこは諸々をてんびんにかけて慎重に検討したい。

文・モリソウイチロウ(ライター)
「ZUU online」をはじめ、さまざまな金融・経済専門サイトに寄稿。特にクレジットカード分野では専門サイトでの執筆経験もあり。雑誌、書籍、テレビ、ラジオ、企業広報サイトなどに編集・ライターとして関わってきた経験を持つ。