都内に住んだことがない人は、家賃の高さに驚いてしまうかもしれない。昨今の増税や円安などの情勢も考えると、家賃はできるだけ抑えたいものだ。
23区でも地域によっては低家賃で住める街もあることを知っておきたい。そして、収入の何割に当たる部分を家賃に回すのが理想なのか解説する。
それでは、2024年3月時点のHOME'Sのワンルーム・1K・1DKの家賃相場情報からTOP5 を見ていこう。
■第5位はファミリー向けのあの街
第5位は、板橋区。家賃相場は8.31万円だ。
板橋区は、新宿や渋谷へのアクセスがしやすい反面、通勤ラッシュに出くわす可能性が高い。
通勤ラッシュを避ける人も多く、家賃が低くなっていると想定される。
しかし、駅周辺にスーパーやコンビニエンスストアなどがそろっている駅が多く、一人暮らしの人が生活するには不便さはないだろう。
公園や緑も多いため、ファミリー層にとっても住みやすい街といえる。
■第4位の街の家賃は近年上昇傾向
第4位は、練馬区。家賃相場は7.73万円だ。
練馬区は西武線沿線と東武鉄道などの駅を利用できる。
JR沿線と比較すると西武線沿線などは家賃が下がる傾向にあるため、平均家賃が低くなっていると想定される。
練馬区は全体的に公園が多く、犯罪率が少ないため、どの世帯も安心して暮らせる街だ。
練馬区で特に人気なのは練馬駅だ。
近年の開発事業により大型商業施設が増えてきていることから、家賃も上昇傾向にある。
家賃を優先するのであれば、他の駅にするのがよいだろう。
■第3位は東京の端にある、あそこ
第3位は、江戸川区。家賃相場は7.71万円だ。
江戸川区はJR沿線だけではなく、京成線沿線の駅を利用できる。
京成線はJRよりも家賃が安いこともあり、平均家賃が低いことも想定される。
江戸川区の中で、特に人気なのは葛西駅だ。
葛西駅は、東西線が通っており大手町や飯田橋などへ乗り換えなしで行けるため、通勤や通学にも利便性が高い。
駅周辺にはスーパーや薬局があるため、日常の買い物には不便さがない。
江戸川区には葛西臨海公園もあるため、一人暮らしだけではなくファミリー層にも人気のエリアといえるだろう。
■第2位は最近まで一番安かった...
第2位は、足立区。家賃相場は7.03万円だ。
近年足立区役所を中心に防犯に力を注ぐなど「治安が悪い」イメージを払拭するための対策がされている。
足立区内で特に人気なのは北千住駅だ。
駅周辺にはルミネやマルイの大型商業施設だけではなく、ファッションショップやスイーツのお店などが集結しているため人気がある。
昔ながらのお店があり、下町のよさが残りながらも若者が利用できるお店が多い割に家賃が安いため一人暮らしの人が住みやすい街といえるだろう。
■気になる第1位は..?
第1位は、葛飾区。家賃相場は6.95万円だ。
葛飾区といえば、『男はつらいよ』や『こちら葛飾区亀有公園前派出所』から下町をイメージする人が多いだろう。
繁華街が多く、治安が悪いイメージを持っている人もいるかもしれない。
しかし、葛飾区はさまざま方面へのアクセスがよく、商店街や飲食店などが集結している駅が多く住みやすい駅も多い。
特に新小岩駅は、住みやすさに定評のある駅だ。
JR総武線の各駅停車と快速が停車する駅であるため、東京駅や横浜駅、新宿駅など主要駅へのアクセスが抜群である。駅回りには、スーパーや商店街が充実している。
日常の買い物に不便さがないだけでなく、飲食店も多いため一人暮らしだけではなくファミリー層にも人気の駅といえるだろう。
■家賃手取り3割はもう古い?
昔から、家賃は毎月の収入の3割が目安とされているが、この認識は過去のものになりつつある。
家賃を考える上で固定費を把握しておくことは大切だ。例えば一人暮らしの人の1カ月家賃を引いた生活費は平均17万円程だ。
ここ数年は、戦争による原材料不足や新型コロナウイルス感染症による物流の滞りにより、日用品の価格は上昇傾向にある。
加えて、新型コロナウイルス感染症が落ち着き人々が活発に動き出したことや円安の影響を受けてインバウンドが増えたことで、ホテルや航空券などレジャーに関する費用も高騰している。
さらに、増税や社会保険料の引き上げにより、同じ給料でも手取りが減っている。このように、以前に比べると生活費が高くなったいま、「家賃は手取りの3割」には負担感があるのではないだろうか。
家賃は手取りの2.5割程度にとどめるのが現代社会の理想と言えるだろう。家賃を低く抑えておけば、今後さらに物価が上昇したり、増税になったりして生活費が上がったとしても余裕を持って対応できる。
■ネットの情報だけではなく実際足を運んでみよう
インターネット上では、住みやすい街や家賃が安い街などの情報があふれている。
しかし、どのような環境を望むかは人それぞれ異なるはずだ。
実際にその町に足を運び、駅周辺や物件の周辺環境を確認することで、引っ越しをした後も後悔なく住み続けられるだろう。
また、物価が高騰し続けるいま、無理して高い家賃の物件を選ぶのではなく、安心して支払える家賃の物件を選ぶことをおすすめする。
文・勝目麻希(ファイナンシャル・プランナー)
新卒で総合職としてメガバンクに入行し、法人融資・金融商品販売等を担当。転職・結婚・出産を経て一時は専業主婦になったが、自分の金融知識や実務経験を活かしたいと独学でライターの道へ。現在はファイナンシャルプランナーの知識を活かして金融系メディアを中心に執筆。